2年間の奮闘記 ~全国環境研協議会酸性雨広域大気汚染調査研究部会事務局を担当して~
1.はじめに
研究員としてセンターに配属された1年目。兵庫県に入庁して行政で数年過ごしてきた私にとって、大事件が起こりました。調査・研究自体が大学卒業以来久しぶりで、しかも酸性雨調査は初!という状況の中、「来年度、全国環境研協議会酸性雨広域大気汚染調査研究部会(以下、全環研酸性雨部会)の事務局を担当することになったから、引継ぎを兼ねて会議にオブザーバー参加して来て」と言われたのです!
2年間の事務局業務について、私の奮闘記をご紹介します。
2.全環研酸性雨部会とは
全環研酸性雨部会は、地方自治体の環境研究機関(地方独立行政法人及び財団を含む。以下、地環研)で組織する全国環境研協議会(以下、全環研)に設置されている部会のひとつで、部会長、理事委員、全環研の各支部から選任された支部委員、地環研に所属する研究職員の有志である委員及び酸性雨調査に関する有識者、そして事務局により構成されており、酸性雨全国調査の実施要領等の策定、結果の収集・解析及び報告書の作成を行っています。
全国酸性雨データベースの詳細は、http://db.cger.nies.go.jp/dataset/acidrain/ja/index.htmlをご参照下さい。
3.事務局1年目:細かな業務がたくさん!
事務局業務は、会計業務、委員や有識者の委嘱業務、酸性雨全国調査業務及び部会会議開催業務等多岐にわたります。私の担当は、調査業務と部会会議開催業務でした。
「たった2つやん!」とツッコミたいところですが、1つの業務に細々としたことがたくさんあるのです。調査業務では、酸性雨全国調査に係ることだけでも調査依頼、結果報告依頼、報告様式の配布、報告書のとりまとめ等盛り沢山です。
部会会議開催業務では、日程調整や会議参加依頼文の送付、会場の借用依頼、資料作成、さらには専門家である有識者の先生方や長年に渡り酸性雨調査に携わってきた委員の方々を前に資料の説明をしなければなりません。
とにかく目の前のことをこなすことに必死でした。
4.事務局2年目:新型コロナに翻弄される
さあ、2年目です。1年間事務局業務を遂行し、流れも把握できたのでスムーズに行くにちがいないと思っていました。新年度になるまでは…。
そうです。2年目は2020年です。2020年はご存知のとおり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、新型コロナ)により様々なことが制限され、生活様式や働き方が大きく変わりました。
部会会議は、例年11月頃に東京都環境科学研究所にて、2月頃につくば市の国立環境研究所にて開催されますが、新型コロナの影響により先行きが不透明でした。会議を東京やつくばで開催できるのか、誌上開催やWeb開催にした方がよいのか等検討しなければなりませんでした。
第1回会議の日程調整をする8月頃、新型コロナの第2波が襲来したこともあり、第1回はWeb会議となりました。全環研酸性雨部会では初のWeb開催です。複数回テストを実施し、当日を迎えました。いざやってみると、パソコン操作が追加されたものの、事務局として会議で行うことは変わらないので、何とかなったというのが感想でした。
年末から新型コロナの第3波が襲来し、第2回もWeb会議となりました。例年は2日に分けている内容を丸1日で議論いただいたため、会議終了後はドッと疲れたことを覚えています。
Webでの会議開催という新しい試みでしたが、1年経過した今では、もはやそれが当たり前となっています。全環研酸性雨部会においても、令和3年度から第1回部会はWeb開催とすることが決定しました。
5.おわりに
2年間の事務局業務を完遂し、次に事務局を担当される千葉市環境保健研究所へ引き継ぎました。対面での会議2回、Web会議2回の計4回の会議(オブザーバー参加も入れると計6回)に参加しましたが、参加者の皆さんが酸性雨調査の今後についてとても心配されていることが印象的でした。
酸性雨調査の参加機関・調査地点の確保・継続は喫緊の課題です。各地環研においては、新型コロナの影響により予算や人員の確保が以前にも増して困難な状況に陥っていることと存じます。そうした状況ではありますが、20年以上のデータが蓄積されている酸性雨調査は、今後も継続すべき大変重要な調査であると事務局を担当して改めて感じました。
地環研及び関係機関の皆様におかれましては、今後とも当部会の活動にご理解とご協力を賜りますよう引き続きよろしくお願い申し上げます。