2011年11月号 [Vol.22 No.8] 通巻第252号 201111_252008

自己紹介:地球環境研究センターの特別研究員 赤木純子

地球環境研究センター 温室効果ガスインベントリオフィス 特別研究員 赤木純子

photo. 地球環境研究センター 温室効果ガスインベントリオフィス 特別研究員 赤木純子

2008年10月から地球環境研究センターの温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)に所属しています。GIOは、環境省の委託を受け、日本の温室効果ガス排出量・吸収量を算定し、その結果をまとめた目録(インベントリ)を毎年気候変動枠組条約の事務局に報告しています。私はその中で、土地利用、土地利用変化及び林業分野における排出・吸収量の算定に携わっています。本分野では、国内で実施された研究や調査の結果をもとに設定されたパラメーターと国の統計(土地利用ごとの面積といった活動量)を利用して、植物や土壌といった炭素プール中の炭素の増減を把握しています。

例えば、前年度と比べて炭素プール中の炭素量が増加していれば二酸化炭素(CO2)は吸収された、炭素量が減少していればCO2は排出された、ということになります。日本は京都議定書の第一約束期間中に基準年の排出量と比べて6%削減することを約束していますが、その達成の成否はGIOの算定するデータをもとに判断されます。京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日全部改訂)によると、削減目標のうち3.8%は土地利用、土地利用変化及び林業分野の排出・吸収量をもとにしたデータで賄うことを想定しているため、関係省庁や研究者の方々の協力を得ながら算定を行っています。

算定にあたっては、気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議で決定された計上ルールを理解することに加えて、日本独自の方法論等も理解する必要があります。最新の科学的知見や政策の効果を反映すべくほぼ毎年開かれる温室効果ガス算定方法検討会(環境省)の結果をインベントリに反映するには、多くの算定ファイルの更新や方法論の詳細を記述した報告書(日英)への追記、修正を伴います。インベントリの算定対象が国内の活動に由来する排出・吸収量であるため、算定ファイルの数も報告書も量も多いので、それらを毎年の提出締切日までにミスがない完全なインベントリとして取りまとめるには、同僚と協力して何重もの確認作業を行う等細心の注意を払います。また、提出後にも、インベントリに対する国際的な審査の対応や、日本の知見をアジアの途上国とも共有すべくインベントリに関するワークショップを開催する等しています。

私は宮崎県の出身で、国立環境研究所に来る前には佐賀大学理工学部で化学を勉強し、その後ドイツのミュンヘン郊外にあるヘルムホルツ研究所(旧:GSF研究所)で土壌生態学を学びました。そこでは土地利用及び管理方法が、土壌中の有機物にどのような影響を与えるかについて研究を行いました。滞在期間中は、ドイツに限らず、欧州の中央部から南部にかけてさまざまなフィールドを訪れる機会が多くあり、いろいろな土壌環境を知ることができて大変勉強になりました。現在は直接フィールドに出る機会はありませんが、インベントリ作成を通じて日本の土地利用及び土地利用変化が各炭素プールに与える影響について知ることができます。

つくばに来て早3年になりますが、町や公園がきれいに整備され、緑が多いのがとても印象的です。家のまわりも大変静かで公園に近い環境なので、読書をしたりジョギングをしたりするのに最適です。また、最近通い始めたテニススクールでもリフレッシュしています。早くまともなゲームができるくらいに上達できたらと思っています。

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