2014年3月号 [Vol.24 No.12] 通巻第280号 201403_280006

地球環境研究センタースパコン事務局だより—平成25年度成果報告会を開催しました—

  • 地球環境研究センター 研究支援係

地球環境研究センター(以下、センター)は、12月19日(木)に国立環境研究所(以下、研究所)交流会議室で平成25年度スーパーコンピュータ利用研究報告会(以下、報告会)を開催した。研究所は、将来の気候変動予測や影響評価予測モデル等の研究開発、各種モデル改善ための基礎研究などを支援する目的で、スーパーコンピュータ(以下、スパコン)を所内に整備・運用し、所内外の環境研究者に計算資源を提供して、大気・海洋モデリング、気候変動予測、温室効果ガス観測技術衛星GOSATのデータ処理、地球型惑星流体力学、その他さまざまな分野で数々の研究成果を生み出してきた。

研究所には、スパコンの利用計画・運用基本方針などを審議する「スーパーコンピュータ研究利用専門委員会」(以下、専門委員会)が設置されており、スパコンの研究利用を希望する所内外のユーザは、年度初頭に 研究課題の利用申請を行い、所内のスーパーコンピュータ利用研究審査ワーキンググループ(以下、審査WG)による審査を経て、さらに専門委員会の意見を踏まえ、スパコンの研究利用の可否を判定される。利用が認められたユーザは、年に一度の報告会で報告を行う。

センターが主催する報告会は、毎年、所内及び所外利用の課題代表者(又はその代理の報告者)によって行われる。今回は、所内11課題に加えて所外7課題、計18の研究課題の成果発表(終了課題1を含む)に対して、所内外から合わせて約80名の参加があった(写真1)。

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写真1スパコンによる研究成果発表を聞く参加者たち

各課題の報告者から、平成24年度の研究成果および平成25年度の中間結果についての報告が行われ、最新の研究成果および今後の展望と利用研究におけるスパコンの重要性が述べられた。今回報告された内容は、地球環境若しくはその一部をコンピュータ内で仮想的にモデル化し、気候変動のメカニズムについてのさまざまな理解を進める複数の研究成果、オゾン層や広域的な大気汚染のメカニズム理解又は将来予測、化学物質の水産資源への曝露評価、人工衛星データから地上からの温室効果ガス排出を推定する試み、風と海との力学的相互作用と運動量の計算、さらには希少野生生物のゲノム解析、そして火星におけるダスト循環のシミュレーション等々、実に多岐にわたる。汎用のコンピュータでは能力的に計算ができなくなり、スパコンでチャレンジしたいという課題も複数あった。

これら報告に続く討論も活発に行われた。質問は専門委員会委員のみならず関係研究者からも出され、さまざまな立場からの多くの貴重な意見により、スパコン利用をさらに発展させ、環境研究を進める機会とすることができた(写真2)。

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写真2質疑応答はさまざまな観点から行われた

当日報告された内容の詳細については、センターのウェブサイト(http://www.cger.nies.go.jp/ja/activities/supporting/supercomputer/index.html)を参照されたい。上記サイトには、平成25年度分のほか、過去の報告会における発表内容に関する情報も掲載されている。

なお、昨年6月から研究所のスパコンシステムが更新され、新しいベクトルマシンが導入された。計算速度等のスペックがトップレベルというような大きなスパコンシステムではないが、昨年は2度にわたるユーザ説明会を行うなど、手厚いサポートと安心して利用できる研究用スーパーコンピュータシステムをめざし、ノウハウのさらなる蓄積を進めている。今後の環境研究の発展に、この研究所スパコンシステムが利用され、大きな成果を上げることを願ってやまない。

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