2014年3月号 [Vol.24 No.12] 通巻第280号 201403_280008
【最近の研究成果】 航空機搭載ライダーを利用した横浜市の森林資源地図の作成
森林伐採が地球温暖化に大きく関連していると考えられるようになってから、地方自治体レベルでも森林による二酸化炭素吸収への関心が高まり、森林面積だけでなくその炭素蓄積量の高空間分解能での観測技術が求められつつある。そこで私たちは、航空機に搭載するライダーという観測機器を利用して高精度な森林資源地図を作ることを、横浜市全域をテスト地域として試みた。ライダーとは、レーザ光で地上を照射することで樹木や建物などの高さを計測できるもので、近年発達してきた技術である。
ライダーで計測した樹高から森林資源量を推定できるよう、まず地上調査を行って両者の関係式を作成した(図1)。次に、この関係式を使うことで森林資源地図を作った(図2)。この地図の解像度は5m×5mという詳細なものである。ここでの森林資源量とは、樹木の乾燥重量(水分を除いた重量)が5m×5mの範囲内に何トンあるかを表すバイオマスと呼ばれる量で示している。この地図から、横浜市に賦存する森林バイオマスは全体で約91万トンであることが分かった(根の部分は除く)。このような方法は、都市などに散在する森林資源量を高い空間分解能で高精度に把握するための有力なツールとなることが示された。

図1地上調査によって作成した、樹高と林分材積(樹木の占める体積のことでバイオマスへ換算可能)との関係式

図2航空機搭載ライダーを利用した横浜市の樹高地図(左)と森林バイオマス地図(右)
本研究の論文情報
- Forest biomass mapping with airborne LiDAR in Yokohama City
- 著者: Hayashi M., Yamagata Y., Borjigin H., Bagan H., Suzuki R., Saigusa N.
- 掲載誌: 写真測量とリモートセンシング, 52(6),306-315, 2013.