2014年3月号 [Vol.24 No.12] 通巻第280号 201403_280012

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 3 オゾン層 —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問5オゾンホールに関する説明について、最も不適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 60%

  • 1985年に南極ではじめて観測された
  • フロン類の規制により、オゾンホールの面積は1998年以降減少傾向にある
  • オゾンホールは赤道上でも観測されている
  • オゾンホール内ではオゾンの濃度が低下している
ヒント
南極では2000年にオゾンホールの年最大面積を記録しています。
答えと解説

答え: ②

オゾン層は地表より高度10〜50kmまでの成層圏にあるオゾン濃度が比較的高い層のことです。そのオゾン層には、生物にとって有害である紫外線を吸収する働きがあります。

オゾンホールはオゾン層のオゾン濃度が周囲に比べて著しく低くなった場所で、オゾン層に穴があるように見えることからこのように呼ばれています。このオゾンホールは1985年に南極ではじめて観測されました。このオゾンホールは南極域が顕著ですが、北半球高緯度地域や赤道付近でも観測されています。

オゾン保護のため、1987年に採択された「モントリオール議定書」(1989年発効)において、オゾン層を破壊する特定フロンなどの生産・消費は規制されていますが、フロン類は安定しておりオゾン層付近に長い時間とどまる性質もあります。そのため、排出を止めてもすぐにオゾンホールがなくなるわけではなく、南極では2000年にオゾンホールの年最大面積を記録しました。

なお、ここ数年は回復基調にあり、2012年に世界気象機関(WMO)はオゾン層が回復傾向であることを発表しました。

問6フッ素や塩素などを含む物質による「オゾン層破壊」と「温室効果」に関する説明について、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 83%

  • オゾン層破壊と温室効果の反応メカニズムは異なる
  • オゾン層破壊と温室効果は全く同じ反応メカニズムである
  • オゾン層破壊は発熱反応であるため、この反応熱が温室効果の主要な熱源である
  • オゾン層破壊に寄与する物質は、温室効果には寄与しない
ヒント
オゾン層の破壊はフロンが紫外線で分解されることで始まり、温室効果は温室効果ガスが赤外線を吸収することでおこります。
答えと解説

答え: ①

オゾン層破壊と温室効果の反応メカニズムは異なります。オゾン層の破壊は、成層圏に達したフロンが紫外線で分解され塩素原子を放出することにより、塩素原子が触媒となって連鎖的にオゾンを分解することにより起こります。温室効果は、地球から放出された赤外線を温室効果ガス(フロン類を含む)が吸収し、再び放射することにより起こります。

オゾン層破壊に寄与する物質は、温室効果にも寄与します。ただし、モントリオール議定書で規制されているクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)といったフロンガスは、「既に規制されている」ということで京都議定書の対象から除かれています。

なお、京都議定書で規制されているハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)といった物質はオゾン層を破壊しません。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

目次:2014年3月号 [Vol.24 No.12] 通巻第280号

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