プロジェクト3低炭素社会に向けたビジョン・シナリオ構築と対策評価に関する統合研究
平成26年度の研究成果
サブテーマ1では、バックキャスティング手法等を日本、中国、インドなどのアジア主要国に適用して得られるさまざまな定量的な情報—低炭素社会の実現に必要となる社会経済動向や対策技術、それらを反映させた具体的な生活の姿—を分析しています。これらの情報は、気候変動の国際交渉を支援する科学的な基礎データとして活用されます。また、アジア主要国の低炭素社会シナリオをまとめた成果物を作成することで、政策決定者の科学的な決定を支援しています。2013年度には、所内外の研究者と共同で、2050年の世界の温室効果ガス排出量を1990年比半減するために、アジアで必要となる取り組みをまとめた「10の方策」について、その効果を定量化しました。
サブテーマ2では、これまでに開発してきたモデルの改良を通じて、地域や部門の特性を反映させた温室効果ガス排出削減費用の推計や、温室効果ガス排出削減計画の検討を行っています。また、世界モデルを用いて、緩和策だけでなく温暖化影響や適応策を踏まえた多様なシナリオも、国際プロジェクトに参加して作成しています。さらに、他のサブテーマの成果をもとに、日本モデル、世界モデルを連携した分析を行い、国際的な削減目標に対するわが国の温暖化対策の水準およびその経済影響を評価しています。
サブテーマ3では、次期国際制度に関する国際交渉が難航する原因や、中長期的に目指すべき国際制度の構造を、成果として公表してきました。近年では、2015年末にパリで開催されるCOP21にて、新しい国際枠組みを合意できるよう、国際交渉が進んでいますが、その結果として合意しうる枠組みオプションを研究しています。