2015年11月号 [Vol.26 No.8] 通巻第300号 201511_300010

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 23 森林(その2) —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問69【A】〜【D】にあてはまる語句として、最も適切なものはどれか? 京都議定書や国連気候変動枠組条約においては、「土地利用、土地利用変化及び林業(LULUCF)」分野が温室効果ガスの排出・吸収源(主にCO2の排出・吸収源)として取り扱われている。この分野では森林によるCO2吸収のほか、A によるCO2排出(吸収)などが取り扱われる。京都議定書第一約束期間において、日本は京都議定書3条3の必須項目のほか、3条4の選択項目のうち、B と植生回復を選択している。
なお、日本の国土面積に占める森林面積の割合を他の先進国と比較すると、C となる。また、発展途上国の森林などの開発により引き起こされる土壌炭素の減少によるCO2排出は問題となっている。この問題はとりわけインドネシアや D といった国で深刻となっている。

【A】

上級レベル

正答率 45%

  • 森林から農地への転換
  • 農地における農作物の光合成・呼吸
  • 農地における農作物残さの焼却
  • 放牧地における家畜類の呼吸
ヒント
土地利用の変化が起こるものです。

【B】

上級レベル

正答率 39%

  • 土壌バイオマス
  • 間伐材利用
  • 放牧地管理
  • 森林経営
ヒント
いわゆる「森林吸収源」を取り扱う項目です。

【C】

上級レベル

正答率 56%

  • フィンランドに次ぐ2位で、森林割合の大きな国
  • スウェーデン、ノルウェー、カナダ、アメリカに次ぐ森林割合の大きな国
  • 平均的な森林割合の国
  • 森林割合の比較的小さい国
ヒント
日本では国土面積のおよそ3分の2が森林です。その割合は森林のイメージのあるロシアで半分、カナダでおよそ3分の1となっています。

【D】

中級レベル

正答率 83%

  • イラン
  • ブラジル
  • 中国
  • エジプト
ヒント
世界でも有数の熱帯林をもつ国です。
答えと解説

答え: 【A】 ①, 【B】 ④, 【C】 ①, 【D】 ②

京都議定書や国連気候変動枠組条約においては、「土地利用、土地利用変化及び林業(LULUCF)」分野が温室効果ガスの排出・吸収源(主にCO2の排出・吸収源)として取り扱われています。この分野では森林によるCO2吸収のほか、森林から農地への転換など土地利用変化によるCO2排出(吸収)などが取り扱われています。京都議定書第一約束期間において、日本は京都議定書3条3の必須項目(「新規植林」、「再植林」、「森林減少」)のほか、3条4の選択項目のうち、「森林経営」と「植生回復」の項目を選択しています(そのほか、3条4には、「放牧地管理」と「農地管理」があるが日本は非選択)。

なお、2005年時点の国連食糧農業機関(FAO)による日本の国土面積に占める森林面積の割合を他の先進国と比較すると、フィンランドに次ぐ2位で、森林割合の大きな国となっています(ただし、2010年に僅差でスウェーデンに抜かれている)。

また、発展途上国の森林などの開発により引き起こされる土壌炭素の減少によるCO2排出は問題となっています。この問題はとりわけインドネシアやブラジルといった森林や湿地を多く持つ発展途上国で深刻となっています。この対策はこれまでの京都議定書(第一約束期間)では含まれていなかったため、REDD(Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countries、途上国における森林減少及び森林劣化による排出の削減)という名称でCOPにおいて議論されています。

FAOの世界森林資源評価「FRA2010」(Global Forest Resources Assessment 2010)によると、各国の森林面積について、2005年から2010年まではブラジルの森林減少が世界で最も大きく(2,194ha/年減少)、次いで、オーストラリア、インドネシア(685ha/年減少)と続いています。中国は増加傾向にあります(2,763ha/年増加)。イランの森林面積は国土面積の7%と小さく、1990年以降横ばいです。エジプトは国土面積のわずか0.1%であり、ほとんど森林がありません。

  • *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

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