2015年11月号 [Vol.26 No.8] 通巻第300号 201511_300006
日本気象学会2015年度正野賞を受賞しました
2015年10月28日(水)〜30日(金)、京都にて開催された日本気象学会2015年度秋季大会において、国立環境研究所地球環境研究センターの吉田幸生主任研究員が正野賞を受賞しました。
- 研究業績
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温室効果観測技術衛星(GOSAT)のデータ品質の向上に関する研究
- 選定理由
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吉田幸生氏は、2009年1月に打ち上られた温室効果ガス観測技術衛星GOSATのリトリーバルアルゴリズムの開発・改良に従事し、CO2、CH4のカラム平均濃度(XCO2、XCH4) のデータ品質向上に努めてきた。誤差要因と考えられる雲やエアロゾルの影響の軽減や、主センサーの経時変化の補正、太陽照度データの見直し、つくばにおけるTCCON-FTSとライダーを用いた事例研究の成果等を取り入れて、リトリーバルアルゴリズムの改善を行った。これにより、GOSATのXCO2とXCH4データの不確かさは1%以下となり、これまでの衛星リモートセンシングでは通常考えられないほどの優れたデータ品質となった。その結果、地上観測データとGOSATのデータを組み合わせた逆解析により、亜大陸規模の CO2やCH4のフラックスの推定精度が地上データだけを用いた場合に比べて向上し、GOSATデータによる応用研究も行われつつある。このように、吉田氏は、GOSATのデータ品質の向上に大きく寄与し、GOSATデータの利用や炭素循環の研究の進展に貢献した。これらの功績に対して、日本気象学会から正野賞が贈られた。
- GOSATデータ・ギャラリー