2011年8月号 [Vol.22 No.5] 通巻第249号 201108_249007

自己紹介:地球環境研究センターの特別研究員 後藤誠二朗

地球環境研究センター 炭素循環研究室 特別研究員 後藤誠二朗

photo. 炭素循環研究室 特別研究員 後藤誠二朗

2009年5月より地球環境研究センター炭素循環研究室の特別研究員として勤務しています。大学院生の頃は、農学部で雑草学について学び、ゴルフ場で問題となっているヒメクグの個生態やその防除に関する研究を行っていました。また、国立環境研究所(以下、国環研)に来る前は岐阜大学でポスドクとして、放棄竹林の動態やバイオマスに関する研究を行うと同時に、岐阜県高山市に流れる大八賀川(だいはちががわ)流域において、衛星画像から求めた植生指数(NDVI)等の指標を検証するために必要な地上での植生調査を行い、流域におけるバイオマスMAPの作成等を行ってきました。国環研においては、環境省地球環境保全試験研究費(一括計上)課題「日本における森林土壌有機炭素放出に及ぼす温暖化影響のポテンシャル評価に関する研究」に従事しています。本プロジェクトは、環境省地球環境研究総合推進費課題「B-073 土壌呼吸に及ぼす温暖化影響の実験的評価」を発展的に引き継いだ研究であり、森林土壌から放出されるCO2が温暖化した際にどのように変化するかを日本各地の森林土壌において温暖化操作実験を行い、土壌呼吸をモニタリングすることを目的としています。

日本は周知の通り、国土の約68%が森林で占められています。森林の機能は生物多様性保全や物質生産機能等多岐にわたりますが、地球環境保全の観点からみると森林はCO2の吸収源として温暖化防止に重要な役割を担っています。京都議定書で日本は、温室効果ガスの排出量を基準年比で6%削減することを目標としています。その内訳としては、森林によるCO2の吸収割合が3.9%と最も高い割合を占めています。森林生態系全体で見た場合のCO2フラックスは、植物の光合成と呼吸によるCO2の差分に加えて、森林土壌から絶えずCO2が放出され続けています。この土壌から放出されるCO2を総称して土壌呼吸と呼び、その大部分を微生物による土壌有機物分解(微生物呼吸)が占めています。この微生物呼吸は温度上昇に伴い指数的に増加していく傾向があり、温暖化により土壌呼吸量が増加し、増加した土壌呼吸がさらに温暖化を促進させていくという正のフィードバック効果が予測されています。このような土壌呼吸の推移やその温暖化影響については、さまざまな生態系モデルを用いて予測されているものの、その結果を検証するために必要な土壌呼吸の長期モニタリングはほとんどありません。そこで、私たちは北海道の北端に近い天塩から苫小牧、弘前、つくば、苗場山、富士北麓、広島そして南は九州の宮崎にわたる日本全国のさまざまな植生において土壌呼吸のモニタリングを行っています。このモニタリングデータを解析することによって、モデルの検証とその高度化が行えると考えています。

つくばに来て2年が経ちましたが、最初につくばに来た時には、予想はしていたものの風景が今まで住んでいた処とだいぶ違うな、と感じました。私が生まれ育った関西は高い山はあまりないものの周りは山に囲まれていますし、岐阜は盆地であり周りを見れば山があるという環境にいました。つくばは北に筑波山が見えるものの、他に山はなく周りはほぼ平野で、「これが関東平野か〜」と思ったのを覚えています。また、調査で新潟県南部の湯沢や富士北麓フラックス観測サイトに行く時に、関東平野を車で横断して移動する際にも「関西や中部とは違うな〜、関東平野はやはり広いな」と実感しています。そういえば、筑波山からスカイツリーが見えるとTVで放送していたので、一度は筑波山に登って完成したスカイツリーを見てみたいと思っています。

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