観測現場発 季節のたより[21] 苫小牧にて-吹雪の作業後、春に癒される
地球環境研究センターは、2000年から北海道大学と共同で、苫小牧の国有林(カラマツ人工林)において炭素収支の長期観測を行ってきました。この苫小牧フラックスリサーチサイトは国内外から多くの研究者が集まる学際的な観測研究の拠点として活用されていましたが、2004年の台風で殆どのカラマツが倒れてしまいました。その後、大規模自然災害からの回復過程における炭素吸収などの森林機能の遷移を明らかにするために、小型のタワーを用いた観測が継続されてきました。

台風から15年が経過し、シラカンバなどの高木類の生長が顕著になったため、2019年に30mのタワーを新設し、観測体制を新たに整備することで、さらなるサイトの活用をすすめています。
苫小牧フラックスリサーチサイトは人口密集地から遠く離れた場所にありますが、商用電源が引かれているため通年の観測が可能です。このサイトは太平洋側にあり、北海道の他の地域と比べると積雪量は少なめとなっていますが、それでも4月になってもあちこちに残雪が残っています。今回の出張作業日は降雪となってしまい、タワー30mでは強風による吹雪の中での困難な作業となりました。

舗装路からサイトに向かう林道周辺は陽当たりが良いので雪解けが進み、道の脇には早くから草が生えてきます。春先にはたくさんのフキノトウが芽を出しています。関東周辺で見かけるフキノトウに比べるとかなり大きめのものですが、顔を近づけてみると、おなじみのフキノトウらしい香りがします。

また、サイトにはエゾシカが多く、タワー作業中でも時々「ピィーー」と甲高い鳴き声が聞こえます。この時期にタワーから西方向を見てみると、天気が良いときは残雪をいただいた樽前山が綺麗に見えます。
