2018年4月号 [Vol.29 No.1] 通巻第328号 201804_328006

地球環境豆知識 34 気候正義(climate justice)

  • 地球環境研究センター 主幹 広兼克憲

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みなさんは、気候正義(climate justice)という言葉を耳にしたことがありますでしょうか? 日本ではまだ聞き慣れない言葉ですが、今回はこれを解説します。

主として先進国(や新興国)に暮らす人々が石油や石炭などの化石燃料を大量消費してきたことにより、地球が温暖化し、さまざまな気候変動が起きています。

しかし、皮肉にも地球温暖化による異常気象や自然災害でより大きな被害を受けるのは、化石燃料をこれまであまり使ってこなかった途上国の人たちやこの問題に責任がない将来世代です。

他方、現実問題として、地球温暖化により異常気象や自然災害が多発すると、農業や漁業など天候や自然に頼った生活を営む途上国の貧困層は、深刻な影響を受けてしまいます。化石燃料の消費によりインフラ等が充実してきた先進国に比べて、途上国は気候変動に適応する能力、資金、技術も十分ではないからです。

こうした不公平さを背景に、「気候変動問題は(因果関係を踏まえた加害者と被害者が存在する)国際的な人権問題であって、この不正義を正して温暖化を止めなければならない」という認識が気候正義です。先進国が地球温暖化対策への責任を先頭に立って果たし、すべての人々の暮らしと健全な生態系を持続可能なものにする取り組みを行うことによって、問題を解決すべきだという社会的な運動が世界各地で起きています。

たとえば、アフリカ大陸は気候変動による最も深刻な影響を受けている地域の一つです。2008年に設立されたアフリカの1000を超す団体やネットワークから構成される「パンアフリカ気候正義連盟(Pan African Climate Justice Alliance、http://www.pacja.org/)」は、気候変動対策が進むよう政府や国際機関に政策提言等を行っています。

世界で起きている気候正義を求める強い動きについて、残念ながら日本ではあまり知られていません。

*FoE Japanのウェブサイト(http://www.foejapan.org/climate/about/climatejustice.html)および「Climate Justice Now」(http://www.foejapan.org/climate/about/pdf/ClimatejusticeNow_S.pdf)から一部引用

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