2017年2月号 [Vol.27 No.11] 通巻第314号 201702_314003
ロシア・サンクトペテルブルグで地球観測の成果を発表 —第13回地球観測に関する政府間会合参加報告—
1. はじめに
2016年11月8〜10日、ロシア・サンクトペテルブルグで開催されたGEO-XIII(第13回地球観測に関する政府間会合)に参加し、国立環境研究所(NIES)は、Japan GEO(日本におけるGEOの活動)ブースにおいて、本会合参加者らに地球観測の成果等を報告しました。
GEO-XIIIの会場となったのはサンクトペテルブルグの郊外にある大きなホテルPark Inn by Radisson Pribaltiyskaya Hotelです(写真1)。展示準備も含め4日間ホテルに滞在しましたが、11月初旬にもかかわらず、最高気温がマイナスの日が続き、常に粉雪が舞う天候でした。市内を流れる川も凍っているため、積もった雪を流す場所もありません。
2. GEOとは
地球サミットから10年を経た2002年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ)や2003年G8サミット(エビアン)などにおける地球観測の重要性の高まりを受けて、2003年にワシントンで第1回地球観測サミットが開催されました。2005年の第3回地球観測サミットでは、GEOSS10年実施計画(地球観測に係る長期計画)が策定され、「地球観測に関する政府間会合(GEO)」が設立されました。以降、定期的にGEOが開催され、地球観測をめぐる国際協力・連携・情報共有のため多くの国が政府代表団を組んで参加しています。
3. 国立環境研究所展示の概要
NIESは、Japan GEOの一員として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)とともに、ポスターや動画展示を行い、GEOが推進する地球観測の取り組みへの貢献を紹介しました。展示は、サイドイベントが行われた11月8日、および本会合が開催された9日と10日にかけて行い、本会合の休憩時間には、Japan GEOブース内において、参加した3機関がそれぞれ10分程度のショートレクチャーをしました。NIESからは、9日は野田響地球環境研究センター研究員が、10日は広兼克憲主幹が地球観測の成果として、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測結果や今後の研究開発の見込みなどを紹介しました(写真2〜4)。
地元ロシアや、中国、米国、EUなどがそれぞれポスターを主体とする出展を行っていましたが(写真5)、日本ブースのように研究者等が直接プレゼンテーションを行うやり方はしておらず、多くの参加者が足を止めて聴き入っていました。
4. 所感
大きな国際会議でブース出展する機会が以前にくらべて多くなりました。GEO-XIIIと同時期にモロッコではCOP22が開催され、さらに大規模な日本政府ブースが出展されました。10年前と異なり、各国も展示やPRに力を入れ、工夫を凝らしてきているため、日本の出展が特に目を引くわけではありません。まだまだ日本の成果の見せ方には工夫の余地があると感じました。今後の地球環境研究センターの出展の進化にご期待ください。
略語一覧
- 地球観測に関する政府間会合(Group on Earth Observations: GEO)
- 国立環境研究所(National Institute for Environmental Studies: NIES)
- 複数システムからなる全球地球観測システム(Global Earth Observation System of Systems: GEOSS)
- 宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency: JAXA)
- 海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology: JAMSTEC)
- 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第22回締約国会議(The 22nd session of the Conference of the Parties: COP22)