2015年12月号 [Vol.26 No.9] 通巻第301号 201512_301006
酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 24 省エネ法 —3R・低炭素社会検定より—
3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】
検定試験問題から出題します。
問70エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の制定に関する記述として、最も適切なものはどれか?
上級レベル
正答率 42%
- ①石油危機を契機として、1979年に制定された
- ②地球温暖化問題を契機として、1995年に制定された
- ③再生可能エネルギーの普及拡大を契機として、2005年に制定された
- ④東日本大震災後の深刻な電力不足問題を契機として、2011年に制定された
- ヒント
- 省エネ法は地球温暖化問題が社会で取り上げられるよりも前に制定されました。
- 答えと解説
-
答え: ①
エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネルギー法、省エネ法)は、石油危機を契機に、内外のエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保と工場・事業場、輸送、建築物、機械器具についてのエネルギーの使用の合理化を総合的に進めるために必要な措置を講ずることなどを目的として、1979年に制定されました。
低炭素社会の形成推進に関する法律として、地球温暖化対策の推進に関する法律(略称:地球温暖化対策推進法、1998年制定)とともに、エネルギーの使用の合理化に関する法律(略称:省エネルギー法、1979年制定)、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(略称:再生エネルギー特措法、2011年制定)等のエネルギー関連法についても、時代背景や制定までの経緯、法律の目的を理解し、時系列で整理しておきましょう。
- *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問71省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)における「トップランナー方式」の説明として、最も不適切なものはどれか?
中級レベル
正答率 78%
- ①トップランナー方式は、自社の製品について企業が設けた基準をクリアした効率を設定する方式である
- ②トップランナー方式は、1999年に施行された「改正省エネ法」で導入された方式である
- ③トップランナー方式は、特定機器の省エネルギー基準を、基準設定時に市場に出ている機器の中で最高の効率レベルに設定する方式である
- ④省エネ法におけるトップランナー方式が対象とする製品は、テレビ、冷蔵庫などの家電製品の他にガス調理機器、乗用車なども対象としている
- ヒント
- 1999年の改正で導入され、家電のほかに乗用車なども対象としており、市場に出ている製品の中のトップランナーを基準としています。
- 答えと解説
-
答え: ①
トップランナー方式は、省エネ法で指定された家電製品(テレビ、冷蔵庫など)、自動車、ガス調理器などの製品のエネルギー消費効率に関して、その時点で市場に出ている機器の中で最も省エネ性能がすぐれたもの(トップランナー)を基準として目標を設定する方法です。目標達成状況は資源エネルギー庁により調査が行われ確認されています。その結果、1998年の省エネ法の改正(1999年施行)により制度が導入された後、多くの機器で大幅な効率改善が確認されています。例えば、電気冷蔵庫は1998年から2004年度までにエネルギー消費効率が55.2%改善されました。これは、年間消費電力量が半分以下になったということを示しています。
なお、「自社の製品について企業が設けた基準をクリアした効率を設定する方式」ではありません。
- *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです
問72省エネ法において、トップランナー方式による機器の効率改善が規定されていないものは次のうちどれか?
- ①テレビ
- ②エアコン
- ③電気冷蔵庫
- ④携帯電話
- ヒント
- 家庭電化製品では年間消費電力量が大きい機器が対象となりやすくなっています。
- 答えと解説
-
答え: ④
テレビ、エアコン、電気冷蔵庫といた電化製品は家庭における年間消費電力量も大きく、トップランナー方式による機器の効率改善が規定されています。なお、携帯電話(の充電)は消費電力も小さいため、トップランナー方式では定められていません。トップランナー方式では定められ手いる機器は、日本全体でのエネルギー消費量や機器効率の改善可能性、機器効率の設定可否などを考慮して決定されています。
- 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集