2015年3月号 [Vol.25 No.12] 通巻第292号 201503_292010

【最近の研究成果(総説)】 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)プロジェクトにおけるレベル4プロダクトの概要

  • 地球環境研究センター 物質循環モデリング・解析研究室 研究員 齊藤誠

温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)の大気中濃度は産業革命以降上昇を続けている。しかし、大陸スケールでのそれらの吸収・排出量を推定するには地上観測網の密度は粗く、推定値には大きな不確実性が残る。そこで、全球のCO2およびCH4の動態を把握し、気候変動に対する科学的理解を深めるために、2009年1月に温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が打ち上げられた。GOSATは搭載された温室効果ガス観測センサによって地表面で反射した太陽光等の輝度スペクトルを観測する。この観測データをもとに導出したCO2・CH4カラム量や地上観測濃度データを使用し、大気輸送モデルを介して亜大陸スケール(数千km四方)でのCO2・CH4の吸収・排出量を逆推定(インバース解析)したものをGOSATレベル4(L4)プロダクトとして公開している。本解説ではインバース解析の説明やL4プロダクトの概要を中心に、関連する出版済み研究論文の結果を交えてプロジェクト全般の説明を行っている。

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GOSAT・地上観測データから推定した、2010年7月における全球64領域の月平均正味CO2吸収・排出量(左)と推定値が含む不確実性(右)。単位は【g C m−2 day−1】、正値が放出、負値が吸収を表す [クリックで拡大]

本総説の情報

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による二酸化炭素およびメタン全球吸収・放出量推定について
著者: 齊藤誠, 千田昌子, 横田達也, Maksyutov S.
掲載誌: 日本リモートセンシング学会誌, 35(1), 31-38, 2015.

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