3EIDの概要

「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)」は,わが国の『産業連関表』を用いて算出した“環境負荷原単位”を収録したデータブックで2002年に発行されました。このWeb editionでは,更新した最新のデータをホームページより提供しております。

産業連関表は生産活動の種類によって区分された約400の部門で構成され,各部門間の経済的なつながりを年間の取引額で表現した行列形式の数表です。3EIDの環境負荷原単位は,各部門の単位生産活動(百万円相当の生産)に伴い直接間接的に発生する環境負荷量を示した数値であり,部門間の投入と産出の構造を基礎とする産業連関分析によって算出しています。こうした産業連関表を利用した環境負荷原単位は国内だけでなく,米国,欧州,オーストラリアなど国際的にも整備が進んでおり,現在では環境と経済の構造分析,製品やサービスのライフサイクルアセスメント(LCA),環境効率性の評価,産業エコロジーや持続可能な生産消費形態の分析にと,環境システム研究の分野で幅広く活用されています。また,生産現場での環境負荷だけでなく,サプライチェーンを通じて生じる間接的な環境負荷を含めた環境管理の重要性が増しており,その定量化において産業連関分析による環境負荷原単位の利用も進んでいます。

(独)国立環境研究所では,1997年にCO2を対象とする環境負荷原単位を収録した「産業連関表による二酸化炭素排出原単位」を発行し,2002年に環境負荷の項目としてエネルギー消費と大気汚染物質を加えた3EIDを出版してきました。また,2003年より3EIDのホームページを通じたデータ提供を行っています。3EIDは,利用者が環境負荷原単位の算定過程が把握しやすいよう,データの透明性を重視し,推計方法の詳細な解説に努めています。また,部門別の燃料消費量や排出係数などの算定に要した種々のデータを含めて公開しているため,算定の根拠となる諸数値を確認できるだけでなく,ハイブリッドLCAなど利用者が産業連関表を独自に拡張した分析を行う場合にも,3EIDをご活用いただけると考えています。

3EIDは英語名である「Embodied Energy and Emission Intensity Data for Japan Using Input-Output Tables」の頭文字をとった略語ですが,エネルギー(Energy),環境(Environment),経済(Economy)の3Eの問題を解くための指標(InDicator)の一つとして,様々な場面で広く皆様にご利用いただけば幸いに存じます。今後も環境負荷の項目を拡張するとともに,環境負荷原単位の信頼性の向上を図り,私共の研究成果を社会に役立てて行きたいと思います。

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