2016年12月号 [Vol.27 No.9] 通巻第312号 201612_312004

観測現場発季節のたより 10 世界遺産白神山地での温室効果ガス観測の冬支度

  • 地球環境研究センター 交流推進係 広兼克憲

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国立環境研究所は弘前大学と共同で、世界遺産である青森県の白神山地内の森林において、土壌から排出されるCO2などの温室効果ガスフラックス観測を行っています。

この観測サイトは豪雪地域にあり、積雪深が多いときで4m以上に及びます。観測機器の一部は雪の下敷きになると壊れてしまいますので、毎年雪のまだ降らない10月下旬に観測機器をいったん撤去し、厳しい冬に備えます。本年は10月31日に、地球環境研究センターの寺本宗正特別研究員や共同研究者である弘前大学大学院理工学研究科石田祐宣助教の調査チームが山中にある観測地に向かい、林床の放射計、日射計、樹幹温度計などを撤去しました。また、34mもあるタワーの頂上に登って、観測されたデータ(植生の季節変化記録写真など)を回収するなど、年内最後となるメンテナンス作業も行いました(写真1〜3)。

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写真1, 2森林内に設置した放射計を取り外し、高さ34mのタワー頂上でデータの回収を行う弘前大学石田祐宣助教の調査チーム

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写真3ブナの樹幹に設置された温度計を撤去する弘前大学伊藤大雄准教授

今回、地球環境研究センターの梁乃申主任研究員が開発した新型の可搬型土壌排出CO2測定器をこの地に持ち込み、試運転を行いました(写真4)。以前は研究者が手動ポンプで行っていた試料気体の捕集も電動ポンプにより自動化されており、より効率的な観測が期待できます。来年度からはこの装置が、この地での貴重なデータ収集を担います。

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写真4研究所で開発された新型の可搬型土壌排出CO2測定器により測定を行う地球環境研究センターの寺本宗正特別研究員

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