2016年7月号 [Vol.27 No.4] 通巻第307号 201607_307006

国立環境研究所一般公開「春の環境講座」を開催しました

  • 地球環境研究センター 交流推進係(国立環境研究所 一般公開実行委員) 広兼克憲

1. 概要

2016年4月23日(土)に、科学技術週間に伴う国立環境研究所一般公開として「春の環境講座」を開催しました。昨年より約1割多い654名の方々に研究所にお越しいただきました。地球環境研究センターは、地球温暖化研究棟1階を公開し、「徹底討論—パリ協定でどうなる?どうする?地球温暖化—」と題し、地元茗渓学園の高校生を交えたパネルディスカッションを行うとともに、地球環境観測の展示、発電量表示システムを備えた自転車発電体験を行いました。さらに、地球温暖化研究棟のグリーンカーテンから株分けしたパッションフルーツの苗を来場者にプレゼントしました(写真1)。

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写真1パッションフルーツの苗を配布

研究所一般公開では、私たちの研究成果を来場者の方々にわかりやすくお伝えし、貴重なご意見・ご質問等をいただくとともに、いろいろな問題について一緒に考えることができました。以下ではこのうち、地球温暖化研究棟での公開内容についてご報告します。

2. 最新の研究内容紹介

研究内容の紹介として、民間航空機や人工衛星「いぶき」を使った全世界の温室効果ガス濃度観測の方法を模型や実際の測器をお見せしながら担当研究者が直接来場者にご説明し、得られたデータについてもわかりやすくグラフ化するなど工夫して解説を行いました(写真2、3)。これらの機器はその後、5月のG7伊勢志摩サミットや富山・つくばのG7大臣会合でも紹介されました。

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写真2日本航空の協力により国際線旅客機を利用した画期的な温室効果ガス観測について解説しました

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写真3温室効果ガスの観測を主目的とする世界初の人工衛星「いぶき」に関する説明を行う研究員。宇宙から地球を電磁波の「目」で見ることによってメタンとCO2の濃度を測定できます。その測定結果を地球の形をしたスクリーンに投影しています

特に、「いぶき」の説明エリアでは、従来よりスペースを拡大し、「いぶき」が描かれた大型バナーが出迎える、新しいイメージの展示をご披露しました。例年好評の球面ディスプレイを用いた観測データやシミュレーション結果の投影やポスターでの説明に加え、「GOSAT QUEST」というiPadを使用した体験型クイズを実施し、遊びを通じて「いぶき」の目的と役割を自然と学べるアトラクションとして、子ども達の人気を集めました。またアプリのダウンロードキャンペーンも行い、広く一般の方々に向けて「いぶき」の成果を身近に感じていただく機会となりました。

3. 体験型イベント

(1) 自転車de発電

すでにおなじみのこの企画は、自転車をこぐ力を電気エネルギーに変え、いろいろな電化製品を動かしてみるというものです。大人用と子供用の自転車を用意し、消費電力の異なる白熱電球・LED電球をつけた場合に必要な力が違うことを体験していただきました。特に、液晶テレビを見るためには「安定した自転車こぎ」が必要なことも実感していただき、エネルギーの大切さを「体感」できたことと思います。なお、大人用自転車では発電量をW(ワット)単位で表示し、その発電能力を証明して認定書をプリントすることもでき、エネルギーを生み出すには大変な力が必要であることを理解していただく一端になればと考えています(写真4)。

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写真4奥の白い自転車では発電によっていろいろな電化製品を点けて、消費電力の違いと足にかかる力の関係を体験してもらっています。手前の黒い自転車では自らの発電力の限界に挑戦してもらい、発電量の認定書を発行しています

(2) 観測体験ツアー:地球温暖化を想定した土壌CO2排出実験/太陽の光でCO2濃度を知る装置紹介

地球温暖化研究棟の北にある森林内で土壌からの二酸化炭素の排出に関する実験を行っている場所があります。普段は一般の方々が入れない場所ですが、一般公開にあわせて森の中に大型ディスプレイを持ち込んで解説を行いました。また、「いぶき」後継機からの観測データ質を明らかにするために使用する大きなコンテナに収納されたFTSという温室効果ガス観測装置をあわせて紹介しました。少人数参加型のツアーでしたが、参加された方々は非常に満足され、説明した研究者からもいろいろな質問を通じて得るものがあったということです。

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写真5森の中に大型ディスプレイを持ち込んで解説

4. パネルディスカッション

「徹底討論—パリ協定でどうなる?どうする?地球温暖化—」(第1部:一般パネルディスカッション、第2部:高校生を交えてのディスカッション)と題してこれからの低炭素社会について世代を超えて考えるイベントを行いました。詳細は、別途報告します。

7月23日(土)には国立環境研究所「夏の大公開」が予定されています。子どもから大人まで楽しんでいただける企画を多数ご用意させていただき、また、来場者参加型パネルディスカッションも新たなテーマを設定して準備しています。多くの方々のご来所を職員一同お待ちしております。

ご意見、ご感想をお待ちしています。メール、またはFAXでお送りください。

地球環境研究センター ニュース編集局
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FAX: 029-858-2645

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