2016年6月号 [Vol.27 No.3] 通巻第306号 201606_306006

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 28 家庭でできる温暖化対策 —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問81家庭の電気使用量が1ヶ月当たり350kWhの際に排出されるCO2の量として、最も近いものはどれか? なお、電気の1kWh当たりのCO2排出量(排出係数)は0.55kgとする。

初級レベル

正答率 86%

  • 20 kg
  • 200 kg
  • 400 kg
  • 600 kg
ヒント
この計算において、電力の排出原単位は0.55 kg-CO2/kWhです。
答えと解説

答え: ②

このような計算は環境家計簿をつける(CO2排出量を算出する)際に出てきます。計算方法は以下のようになります。

350 [kWh] × 0.55 [kg-CO2/kWh] = 192.5 [kg-CO2] ≒ 200 [kg-CO2]

なお、ここでは電力の排出係数を0.55kgCO2/kWhとしていますが、一般的に計算する場合は各電力会社が公表している値を使って計算します。

  • *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問82家庭における機器別年間消費電力量の内訳(2009年)の上位4種類をあげたものとして、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 65%

  • 冷蔵庫、照明機器、エアコン、電気便座
  • 冷蔵庫、エアコン、テレビ、パソコン
  • 冷蔵庫、照明機器、テレビ、電気便座
  • 冷蔵庫、照明機器、テレビ、エアコン
ヒント
家庭のさまざまな場所で使用する照明機器も、上位4種類に入ってきます。
答えと解説

答え: ④

冷蔵庫、エアコン、テレビに照明機器を加えた4種類の電化製品が、家庭における年間消費電力の半分近くを占めています(公式テキスト図16-1-3参照)。節電や電気によるCO2排出量の削減を実施するには、まずこの4種類について考えてみることが重要になります。

  • *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問83冷蔵庫は使い方の工夫で1~2割の節電が可能である。そのための対策として、最も不適切なものはどれか?

初級レベル

正答率 95%

  • 冷蔵庫の開け閉めの回数を減らす
  • 冷蔵庫の運転の強弱を適切に設定する
  • 建物部材を放熱先として利用するために、壁との距離を2cm以内とする
  • 冷蔵庫に食品等のものを詰めすぎない
ヒント
冷蔵庫の周りは熱を逃がしやすくしておくと省エネになります。
答えと解説

答え: ③

冷蔵庫は、一般的にどの家庭にもあり、365日24時間稼働しているため、家庭の中では年間消費電力量が大きい電化製品の一つです。

冷蔵庫の開け閉め回数を減らすことにより、冷気の拡散が抑えられるため、節電につながります。

例えば、夏場に比べて冬場に冷蔵庫の運転を弱めておいても影響はなく、省エネにつながります。また、冷蔵庫に食品等のものを詰め込み過ぎると、運転頻度が上昇し、消費電力量が大きくなります。

冷蔵庫は庫内の熱をくみ上げて庫外へ放出しています。そのため、壁からの距離を適切に開けておかないと、周囲から熱が逃げにくくなり、効率が落ちます。

  • *正答率は第6回3R・低炭素社会検定受験者のものです

問84地域別・用途別世帯あたりのエネルギー消費量の特徴の説明として、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 72%

  • 関東では他の地域に比べて照明・家電用のエネルギー消費量が大きく、電気によるエネルギー消費量が大きい
  • 照明・家電用のエネルギー消費量は、地域による違いが大きく、地域間で2倍以上の開きがみられる
  • 九州では冷房用のエネルギー消費が大きく、他の地域に比べてエネルギー消費量が大きい
  • 北海道、東北、北陸では暖房用のエネルギー消費が多く、他の地域に比べてエネルギー消費量が大きい
ヒント
照明・家電用のエネルギー消費量は地域差が小さいです。
答えと解説

答え: ④

北海道、東北、北陸といった寒冷な地域では、暖房期間も長く、外気温と室温との差が大きいことから、他の地域に比べ、暖房に多くのエネルギーを消費する傾向があります。

また、冬は暖房、夏は冷房でエネルギーを消費するため、冷暖房を使用しない中間季の春や秋に比べエネルギー消費量が大きくなる傾向にあります。ただし、冷房は年間で見るとそれほど大きな割合を占めず、(東北や北海道を除くと)地域差もそれほど大きくありません(九州の消費が大きいというわけではない)。

また、照明・家電用のエネルギー消費の地域差はそれほど大きくありません。

  • *正答率は第7回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

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