2016年6月号 [Vol.27 No.3] 通巻第306号 201606_306004
観測現場発季節のたより 9 年間季節変動が小さい島での温室効果ガス観測 —日本最南端、波照間島の春—
2016年3月中旬の沖縄県八重山郡竹富町波照間島にある地球環境モニタリングステーション近辺の様子を報告します。この島は人が住んでいる日本最南端の地で、人口は500人余りです。波照間とは「果てのうるま(うるまはサンゴの意)」の当て字だそうですが、まさに、波光きらめく海とサトウキビ畑を見渡すことのできる果ての小島です。地球環境研究センターは、人為的発生源がほとんどないこの地で温室効果ガス濃度の観測を1993年から継続してきました。
この島の施設を示す看板にはたいてい「日本最南端」の枕詞がつきます(写真1)。
今冬の沖縄は肌寒い日もあって、本島では数十年ぶりにみぞれが観測されたりしました。波照間は沖縄南部の石垣島からさらに南へ約40kmの位置にあるので、さすがに雪やみぞれが降ったという記録はありません。夏は台風の通り道になり、直撃時には風速70m/sを記録したこともあります。
春なのに、太陽がじりじりと照りつける波照間の3月、この日(3月17日)の外気温は26°C、作業したら半袖でも汗をかいてしまいました。実は太陽紫外線の量も本州よりかなり多くなっていますのでUV防護のクリームを塗るなどのケアも重要です。
国立環境研究所では北海道根室市の落石岬でも温室効果ガスの観測を行っていますが、2つの観測所の二酸化炭素濃度の変動のしかたを比べると、落石岬の方が波照間より年間の濃度変動が大きいことがわかります。