2012年5月号 [Vol.23 No.2] 通巻第258号 201205_258002

科学の国の「はて、な」のコトバ 11 ブロッキング

地球環境研究センター 気候モデリング・解析研究室 主任研究員 小倉知夫

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普段の生活で使われるコトバが、科学の国ではちょっと違う意味になることがあります。このコーナーでは、そうしたコトバをご紹介していきます。

英和辞典によると、ブロッキング(blocking)は道路、管などをふさぐこと、または物事の進行や行動を妨げることを意味します。一方、気象学の分野での「ブロッキング」は、中高緯度の対流圏上部に吹く強い西風(ジェット気流)が大きく南北に蛇行、分流し、その状態が1週間以上も続くことを指します。ジェット気流が北へ蛇行したところでは高気圧が形成され、これをブロッキング高気圧と呼びます。通常、移動性の高低気圧はジェット気流上を東進しますが、ブロッキング高気圧が発生すると移動性の高低気圧が東進を妨げられる(ブロックされる)ため、このように呼ばれます。ブロッキングは、その影響下で普段と異なる天候を持続させるため、気象を予報する際に注目される現象です。例えば、2010年にロシア西部とその周辺地域で発生した熱波は多くの被害を出したことで知られていますが、その要因として、ブロッキング高気圧が降水や寒気の流入を妨げたことが指摘されています。

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