NEWS2021年10月号 Vol. 32 No. 7(通巻371号)

夏の大公開 「みんなで実験、ラボ訪問環境を考える夏休みオンライン体験」を開催しました(1) 100人で海水酸性化実験

7月17日(土)国立環境研究所は夏の大公開をオンラインで開催しました。地球システム領域地球環境研究センターでは、「100人で海水酸性化実験」「つくば/東京/北海道3元生中継ラボツアー」「どう思う?なにができる?みんなで話そう、地球温暖化のほんとうのこと」「CGER virtual lab tour: A sneak peek into our global environmental monitoring activities」を企画しました。本稿では「100人で海水酸性化実験」の様子を担当者から簡単に報告いたします。

プロジェクトK ~100人で海水酸性化実験を成功させろ~

高尾信太郎(大気・海洋モニタリング推進室 主任研究員)

新型コロナ感染拡大の影響で昨年は中止を余儀なくされた環境研・夏の大公開。
今年はオンラインでの開催が決定した。
地球システム領域内でも複数の企画(プロジェクト)が立ち上がった。
その一つが「100人で海水酸性化実験」
海水の二酸化炭素吸収・放出を色で確かめる実験キットを事前配布し、オンライン生中継で100人に実験を体験してもらう、参加型イベントだ。
ただ、このコロナ禍で小瓶に呼気を吹き込む海水実験、それもオンラインで・・・担当者は戸惑った。

写真1 この実験は、BTB溶液が水素イオン濃度で色が変わることを利用しています。海水(弱アルカリ性)は青色、水(中性)は緑色、炭酸水(酸性)は黄色です。

感染防止策を訴えつつ、参加者にいかに楽しんでもらうか、いかに環境問題を身近に感じてもらうか。
感染対策で最小人数に制限されるスタッフ、微妙な機器配置で唸り始めるハウリング、しゃべると曇るメガネwithマスク
先が見えない状況だった・・・

しかし、リハーサルを重ねる度に所内の協力者も増えていった。
研究推進係のサポート、企画部からの助っ人、大気・海洋モニタリング推進室内の援護射撃、北の大地からのお寿司スライド、リハーサルにリモート参加してくれた職員の方々。
全員がこの企画を成功させるために奔走した。

写真2 当日のオンライン生中継の撮影風景。小さい画面でもよく見えるように、工夫して撮影しました。

様々な大人の事情があって、当日の参加者(子どもたち)の様子を写真ではお伝えできないのが残念ではあるが、参加者の事後アンケートからは、楽しみながら環境問題を学べたという感想を数多くいただいた。
前例のない「100人で海水酸性化実験」、オンラインという環境を最大限に活用した本企画は当初の目的を概ね達成できたように筆者は感じている。
その出来栄えについては是非、読者の皆さんの目で確かめていただきたい。

※このイベントは、NIES公式Youtubeチャンネルからご視聴いただけます(https://www.youtube.com/watch?v=TdC6jbdBdrg)。