陸別町社会連携連絡協議会、陸別・母子里ユーザーズミーティング 参加報告 -国立環境研究所陸別成層圏総合観測室での観測と報告-
2026年2月19日に陸別町社会連携連絡協議会、陸別・母子里ユーザーズミーティングが陸別町役場にて開催され、衛星観測センターの森野副センター長(当時は衛星観測研究室長)と川尻(当時は観測係長)が出席しました。
陸別町と国立環境研究所
国立環境研究所は、北海道足寄郡陸別町の町立「りくべつ宇宙地球科学館(通称:銀河の森天文台)」の一室を名古屋大学宇宙地球環境研究所と共同で借り受け、「陸別成層圏総合観測室」を設置し、太陽光を観測する高分解能フーリエ変換赤外分光計(FTIR)などを用いて温室効果ガスの観測を行っています。
※「陸別成層圏総合観測室」については、以下HPもご参照ください。
- 国立研究開発法人国立環境研究所 所外実験施設
https://www.nies.go.jp/about/facilities/kogai/index.html
※FTIRモニタリングについては、「太陽光観測による大気微量成分のモニタリング-FTIRモニタリング事業の紹介-」(地球環境研究センターニュース2024年4月号)を、FTIRの原理については、「長期観測を支える主人公—測器と観測法の紹介—7 なぜ鏡は動くのか? フーリエ変換赤外分光計(FTIR)—測定原理」(地球環境研究センターニュース2013年11月号)をご参照ください。
「陸別成層圏総合観測室」の観測機器
「陸別成層圏総合観測室」には色々な観測機器を室内だけでは無く、屋上にも設置させていただいており、ここではその一部をご紹介します。
まずは室内の研究機器です。
(※)エアロゾルとは、微小な個体や液体の粒子と気体(ここでは空気)の混合体のことで、その粒子の大きさや形状、化学組成によってさまざまな特徴を持つことが知られています。大気中のエアロゾルは気候や気象に対して重要な影響を与えることから、近年その分布や時間的な変化を観測することの重要性が増しています。
参考:エーロゾルに関する基礎知識 | 気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/aerosolhp/aerosol_obs.html
参考:ココが知りたい地球温暖化 温暖化の科学 Q11エアロゾルの温暖化抑止効果
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/14/14-1/qa_14-1-j.html
屋上へ移動します。
(※)エアロゾルや雲の光学特性とは、太陽光を散乱・吸収する特性のことで、これを測定することでエアロゾルや雲の量や種類等を推定することができます。
参考:気象庁気象研究所 スカイラジオメーター
https://www.mri-jma.go.jp/Dep/obs/obsdata/sub4_new.html
陸別町社会連携連絡協議会、陸別・母子里ユーザーズミーティング
陸別町社会連携連絡協議会は、北海道足寄郡陸別町と、大学や研究機関(北海道大学、北見工業大学、名古屋大学、情報・システム研究機構、国立極地研究所、国立環境研究所)との連携を通じて、地域活性化を推進することを目的としています。陸別町の町長、副町長、産業振興課の方々や、教育委員会の方々、大学・研究機関の方々が参加されている中で、森野副センター長は、2025年6月に打ち上げられた温室効果ガス・水循環観測技術衛星(Global Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle: GOSAT-GW)の観測結果を検証するためにも、「りくべつ宇宙地球科学館」に設置されたFTIRでの観測の重要性が増していることを改めて伝えました。
陸別・母子里ユーザーズミーティングでは、「りくべつ宇宙地球科学館」と「母子里観測所」を利用する研究者が観測データなどを共有しました。森野副センター長からは2026年度の研究活動としてFTIR(フーリエ変換赤外分光法)による温室効果ガス観測について報告し、神主任研究員はオンラインでミーティングに参加し、ライダー(レーザー光を用いたレーダーで大気を観測する技術)を使用した研究について説明しました。
※参考
環境儀 No.8 黄砂研究最前線- 科学的観測手法で黄砂の流れを遡る
コラム「ライダー」(2003年4月)
https://www.nies.go.jp/pr/publications/kankyogi/08/07.html
終わりに
陸別成層圏総合観測室は2027年11月に30周年を迎えます。陸別町の皆様のご理解とご支援により、観測を長年にわたり継続できていることを、改めて実感いたしました。
引き続き、国立環境研究所地球システム領域の活動にご理解を賜り、変わらぬご協力をお願い申し上げます。
おまけ
「日本一寒い町」として知られている陸別町に2月に行くこととなり、雪に慣れていない関東育ちの筆者はスノーブーツを購入し、布団のようなダウンコートを妹から借りて陸別町へ向かいました。道中、転ぶようなこともなく、気温もマイナス2度~1度ほどで、森野副センター長曰く「暖かい」とのことで(筆者注:暖かくはない)、怪我せず、風邪もひかず乗り切ることができました。
復路は森野副センター長の運転で女満別空港へ向かいましたが、車がスリップした時の対処法を実地で教わりました。冷静に対応する森野副センター長がいなければ私は今ここにいません。ありがとうございました。
