ARCHIVE2020年9月号 Vol. 31 No. 6(通巻357号)

地球環境研究センター30周年企画 地球環境研究センター30年の歴史(3)

  • 地球環境研究センターニュース編集局

地球環境研究センターは、2020年10月で発足30年を迎えます。8月号から3回にわたり、地球環境研究センターニュースにこれまで掲載された記事をもとに、地球環境研究センターの30年間を紐解きます。

今号では、2000年4月号から2010年3月号に掲載された記事のなかから、地球環境研究センターの節目となるイベント等について紹介します。

目次

ココが知りたい温暖化(1)

Q:コンピュータを使った天気予報で1週間先の天気もあたらないのに、コンピュータを使ったって50年後、100年後のことがわかるはずないのではありませんか。

私が答えます:江守正多 (地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室長)
(2006年11月号掲載)

コンピュータによる日々の天気予報と地球温暖化の予測計算は、計算自体はよく似た方法を用いますが、結果の見方が全く異なります。そのため、1週間先の天気予報があたるかどうかと、50年後、100年後の温暖化のことがわかるかどうかは全く別の問題です。

簡単に言えば、天気予報の場合には特定の日の「気象」状態(何月何日にどこに雨が降って気温は何度か)が問題であるのに対して、温暖化予測の場合にはそれは問題ではなく、将来の平均的な「気候」状態(ある地域の気温・降水量の平均値や変動の標準偏差などの統計量)のみが問題になります。そして、コンピュータを使って100年後の特定の日の天気をあてることは不可能ですが、100年後の気候を議論することは可能なのです。

気象の予測と気候の予測の違い

ここで、コンピュータによる天気予報と温暖化予測の方法について少し詳しく説明しておきましょう。

数日の天気予報の場合は大気のみの、温暖化予測の場合は大気と海洋を組み合わせた、シミュレーションモデルを用います。これらのモデルでは、大気や海洋の運動やエネルギーの流れなどを表現する物理法則の方程式をコンピュータで計算して、大気や海洋の状態の変化を時間を追って求めていきます。このとき、天気予報の場合には、観測データを基に今日の現実の大気の状態をできるだけ正確に推定したものを初期条件に用いるのが重要なポイントです。

一方、温暖化予測の場合には、初期条件は非現実的でさえなければどんなものでもよく、むしろ重要なのは、将来予想される大気中二酸化炭素濃度などの変化です。これを時間とともに変化する外部条件(シナリオ)として与えながら計算を行います。

では、1週間先の天気予報はなぜあたらないのでしょうか。モデルが完全でないこと、初期値に誤差があることもその理由ですが、より本質的な理由は、気象が「カオス」の性質を持つことです。ここでいうカオスとは、単に「混沌」という意味ではなく、数学的に、方程式の初期条件に少しでも誤差があると、それが時間とともにどんどん増幅してしまう性質のことです。これをたとえて、北京で蝶が羽ばたくとニューヨークの天気が変わる」のように言うのをあなたも聞いたことがあるかもしれません。

しかし、ある期間の気象の平均状態である「気候」は、地球のエネルギーのバランスなどの外部条件の影響により大部分が決まり、カオスである日々の気象はその平均状態のまわりを「揺らいで」いるだけと見ることができます。

すなわち、100年後の気候(例えば2071〜2100年の平均状態)と最近の気候(例えば1971〜2000年の平均状態)とを比べると、その変化は二酸化炭素の増加などにより地球のエネルギーのバランスが変わるという外部条件の影響で大部分が決まることが期待されるため、これを予測することには意味があるのです。なお、100年後の温暖化予測が実際にどの程度正しいと考えられるかは、モデルの性能やシナリオの確かさによりますが、その説明は別の機会にゆずります。

最後に、もしもあなたが数学的なカオス理論について詳しければ、以上の説明は次のように言いかえたほうがすっきりとおわかりいただけるでしょう。ある日の気象状態を位相空間の状態ベクトルで表したとき、天気予報は状態ベクトルの変化を問題にするが、温暖化予測はアトラクタの変化を問題にする

【さらに良く知りたい人のために】時岡達志, 山岬正紀, 佐藤信夫. 気象の数値シミュレーション. 東京大学出版会. スペンサー・R・ワート(増田耕一, 熊井ひろ美共訳. 温暖化の〈発見〉とは何か(特に第6章「気まぐれな獣. みすず書房

※編集局コメント
「今から14年前となる2006年に発行した『ココが知りたい温暖化』シリーズの第1回のテーマです。Qを見ると現在でも「知りたい」内容であることがわかります。回答の最後の文章「温暖化予測はアトラクタの変化を問題にする」というのは一般にはとても難しい内容ですが、深遠なる温暖化予測の世界へ皆様を誘う言葉として、あえて書いてみました」

サマー・サイエンスキャンプ「南の島から地球温暖化を考える」コース報告

向井人史 (地球環境研究センター炭素循環研究室長)
(2008年8月号掲載)

国立環境研究所は今年も科学技術振興機構の主催するサイエンスキャンプを共催したが、その中で地球環境研究センターでは、企画部広報・国際室と協力して波照間モニタリングステーションでの「南の島から地球温暖化を考える」コース(定員8名:7月22〜24日)を提案・実施した。

今回のコースは、日本の最南端の観測所へ実際に行って、このような遠隔地で地球環境の観測が行われているということを肌で感じてもらうということが大きな目的だ。あまり行く機会のない有人の最南端の島へ出かけることは参加者にとって大きな魅力であろう。

しかし、この時期に波照間に行くこと自体、かなりのチャレンジである。なぜなら夏の時期には週替わりで台風が発生することが多く、日程を決めた瞬間から運命との戦いとなる。フィールド観測によるサイエンスの醍醐味はこの時点からすでに始まっている。海が荒れた場合、石垣島で足止めになる確率が高い。波照間島に渡れない場合の対応をするために、前もって石垣島にある環境省の国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターに応援協力を依頼し、機材も一度そこに集結させておいた。しかし、幸い参加者の願いが届いたのか、当日は前の週に台風が行った後で、風のない典型的な夏日和であった。

今回のサイエンスキャンプの特色は、参加者が住んでいる地域の大気の二酸化炭素濃度を測ってみようということだった。参加者は、北は埼玉県から南は宮崎県までの男子3名、女子5名という組み合わせとなった。参加者にはあらかじめサンプリング用のガラスフラスコを2個送り、当日までに、昼間その地域を代表するような開けた場所でのサンプリングを一つ、自由に自分の興味のある場所や時間でサンプリングをもう一つお願いしておいた。

このような遠い石垣島まで来られるのかと心配したが、時間内に石垣の離島ターミナルに全員集合でき、たくさんの研究資材も船に積み込んで出発。石垣-波照間での海上の大気サンプリングなども行いながら、1時間でほとんど揺れもなく波照間に到着。こんなに揺れないケースは珍しい。波照間に時間通り到着できたことでひと安心しているのも束の間、その夜から活動が始まる。

1日目 温暖化の仕組みと温室効果ガスについて(講義/星空観測タワーでの観察
2日目 施設の見学と観測タワー上での高度別サンプル採取/各地の大気サンプルの分析/海水、土壌、砂など採取し、二酸化炭素の発生源・吸収源の検討/ステンレスパイプ工作/懇親会(現地管理人の加屋本さんのお話とパイプ楽器演奏会)
3日目 濃度分析についての考察と二酸化炭素の蓄積についての考察

これら一つひとつが指導する側にとっては気の抜けないものであるが、サイエンスには失敗やハプニングはつきものである。逆に考えれば、どれだけ多く失敗が出るかということが、よい結果を得る基本となろう(これは、いつも失敗したときのうまい言い訳ともいえる!

まず8人が思い思いに採取した身近な大気の分析を開始。分析するときには、いつも精度が問題である。実はフラスコに除湿せずに大気圧で採ったサンプルは分析が難しい。今回はメタルベローズポンプという高級なポンプと除湿を行う膜式の除湿システムと流量制御器を組み合わせてシステムを組み、0.3 ppm以下の精度を確保したつもりである。こちらも緊張の面持ちで宮崎県の参加者のサンプルを分析する。377.8 ppm。いきなりバックグラウンドより低い値が出たが、とりあえず、値が出ることでうまく分析ができていると確信する。

一人ずつ、写真などで大気を採った場所の様子を説明してもらった。基本的に昼間大気が混ざりやすい時間帯での採取をしている。宮崎県では川などがある自然の豊かな場所、兵庫県では瀬戸内からの空気を採り、大阪中心部ではビルに囲まれた学校、大阪北部の郊外の学校、大阪南部の田園地域、京都の住宅地、東京都杉並区の公園、埼玉県比企郡での神社などそれぞれの特色ある場所で採取をしている。

濃度の測定結果から見ると東京、埼玉、大阪(中央)では全般的に高い値を示した。同じ大阪でも北や南の中心部から離れた場所ではかなり低い濃度が見られた。朝の公園などはすがすがしい空気であり、二酸化炭素もさぞ低いのではと期待していると、逆に最も高い濃度を示すなど、われわれの感覚だけでは捉えていない結果を目の前にして、多くの参加者がある意味ショックを受ける結果となった(写真1

写真1 皆それぞれ採取した大気の分析結果は、予想外の結果?! なぜだろう?

大気中の二酸化炭素は人為発生源や植物や海水、土壌などからの放出や吸収の影響を受けながら変化する。われわれが捉えなければならないのは局地的な影響をすべて混ぜてグローバルに平均化した姿である。波照間の鉄塔を用いたサンプリングを行うことによって、ある程度グローバルな姿を知ることができる。

1日目の夜に、星空観測タワーにでかけ、普段都会では明るくて見られない天の川の様子や10分間に1個のペースで流れるという流れ星、水平線から昇る赤い月の出などを観察したことで、いかにこの辺の大気が清浄であるかを参加者には感じ取ってもらった。とはいえ大気中に微妙な差が生まれる可能性があるので、鉄塔を使い、5 m(屋上、10 m、20 m、30 m、36 mという高さで濃度分布の測定を行った。地上に近い濃度がタワー上部と比べてどうなっているのか興味のあるところである。

8人で協力して同時に各高さでのサンプリングを行った(写真2)結果、下層(5〜10 m)で1 ppmぐらいの濃度低下がみられた。この測定はこれまでわれわれでも実施したことがなかったので、今回の機会は非常にありがたいものであった。

写真2 ステーション屋上(5 m付近)でサンプリング。

もうひとつ、これまで調べたいと思っていたことが今回実現できた。それは周りの海の二酸化炭素吸収がどうなっているのかである。そのため、2日目の昼過ぎに海水の採取にでかけた。

波照間のニシ浜は美しいリーフになっており、その中で海水を採取。その時の海水温は31.5°C、気温32°Cだったのでほぼ両者同じ温度だ。浅い海ではサンゴの白化が進むこともうなずける。これを持ち帰り、容器に入れて二酸化炭素の平衡濃度を簡易的な方法で調べた。その結果、平衡濃度は400 ppmを超えており、夏の時期にはリーフの海水は明らかに二酸化炭素を吸収していないことがわかった。したがって、鉄塔で測定された濃度分布の起こる原因は、このころ大きく成長する植物によるものというのが有力な仮説となった。

最終日は、町田室長が中心となって、これまで測定した二酸化炭素濃度を、波照間や落石などを含め、濃度の低い順に並べて、これらの濃度の順番をどのように説明すればいいのか、なぜ夜や朝に採ったものが高い濃度になったのかを皆で議論しながら、大気中の二酸化炭素の循環などを話し合った。特に大気のスケールというものを、どの程度の大きさで考えなくてはいけないのかなどを学んだ。

次に今回鉄塔で測定した濃度と昨年度の同じ時期に測定されたステーションのデータを比較し、一年間の二酸化炭素濃度増加を約1.8 ppmとはじきだした(これは実際の値に近い。このことから、地球全体の二酸化炭素増加量を計算して、人為起源の二酸化炭素発生量の大きさを実感した。

今回は、将来の温暖化のことを十分に話し合う時間が取れなかったのは残念であったが、この問題は今日明日中に片付くような問題ではない。このような実際の研究現場(配管用ステンレスパイプも切りました)を見る機会を通じて、ぜひ将来のことを考える時の相談先や仲間としてわれわれを活用してもらえれば本来のサイエンスキャンプとしての目的が達せられたことになる。

今回のサイエンスキャンプの募集には非常に多くの応募があり、本来は希望者全員にこのような機会が与えられることが望ましいことを痛感した。主催者の運営上難しいこともあるが、今後体制が許せば定期的な公開の場が作られることを望みたい。

島の時間はゆっくりしているようでも、やはり別れの時間はやってくる。高校生たちの遠い南の島での3日間が、夏の夜の夢のようにきっと彼らの思い出の一部として残ってくれるだろうと思うのは、何かまだどこかに忘れ物をしたように勘違いしているおじさんたちばかりかもしれない。とはいえ、今宵の月のように輝く彼らに将来を託すのもそう悪いことではないだろう。

【参加者(五十音順・敬称略)】桑原里(埼玉県) 田中美紗(大阪府) 白石卓也(兵庫県) 田中美帆(大阪府) 関口明日香(東京都) 中武翔(宮崎県) 大道倖輔(大阪府) 松本妃奈子(京都府)
【スタッフ】日本科学技術振興財団サイエンスキャンプ事務局 新元一弘 星空観測タワー 阿利秀一 地球環境研究センター 向井人史、町田敏暢、尾高明彦、鈴木千那津、加屋本伸光(現地管理人)(財)地球・人間環境フォーラム 織田伸和 その他企画部広報・国際室に全面的に協力していただきました。

地球・人間環境フォーラム、サイエンスキャンプ事務局、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターの関係者の方々に現場での打合せや宿などの各種手配、車の運転、機材の輸送などに多くのご協力をいただき無事に終了することができました。さらには加屋本さんや星空観測タワーの阿利さん、講義の場所を提供していただいた「ペンション最南端」の皆様、どうもありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。

※編集局コメント
「全国の高校生を集め、現役研究者の直接指導の元に合宿授業を行うサイエンスキャンププログラムは諸般の事情で終了してしまいました。この取り組みの意義や若い方が科学に関心をもっていただくための機会としての重要性は記事からも伝わると思いますので、今後何らかの形でこれを再興できたらと日々考えております」

オフィス活動紹介GOSAT(「いぶき」(GOSAT)打ち上げ成功とデータ取得、提供の開始)

渡辺宏 (国環研GOSATプロジェクトオフィス マネージャ)
石原博成 (国環研GOSATプロジェクトオフィス スタッフ)
(2009年6月号掲載)

地球環境研究センターニュース1月号の本コーナーでも速報としてお知らせしましたが、温室効果ガス観測技術衛星『いぶき』Greenhouse gases Observing SATellite: GOSAT)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから1月23日12時54分に打ち上げられました(写真1

写真1 GOSAT打ち上げの様子。

『いぶき』はその後3カ月間の初期機能確認においてセンサなどが順調に機能していることが確認され、現在はデータの精度確認や補正などを実施する初期校正検証運用に移行しています。

この間、いぶき』に搭載されている2つのセンサから初の観測データを取得し、JAXAにより一次処理がなされました。それらのデータは国立環境研究所に送信され、所内に整備したGOSATデータ処理運用施設(GOSAT DHF; Data Handling Facility)でデータの高次処理を定常的に実施するための機能確認を進めています。データの高次処理は、モデルシミュレーション計算を含む多くの処理プロセスから構成されています。

それらが期待通りに機能するか、また観測データのすべてに対して問題なく機能するかをひとつひとつ確認しています。想定外の問題も数多く発生しており、プロジェクトのスタッフやシステム開発業者、システム運用業者とその対応策、解決策を探るために毎日のように話し合いを持ちながら作業を進めています。

確認が終了したFTSレベル1B(スペクトル、CAI レベル1B(地図投影を含む内挿処理は未実施の画像、CAIレベル1B+(地図投影とバンド間レジストレーションのための内挿を実施した画像、CAIレベル2雲フラグ(雲の有無を推定した結果)の各プロダクトを研究公募によって採択された、校正・検証・処理アルゴリズム研究を行う研究者に対して、4月23日から順次提供を開始しています。

5月28日には、二酸化炭素およびメタンのカラム平均濃度の初処理結果を国環研、環境省、JAXAの三者でプレスリリースしました。

図1は、4月20日から28日の9日間の二酸化炭素の陸上の晴天観測点における処理結果(カラム平均濃度)です。4月下旬の二酸化炭素の全球分布として北半球で濃度が高く南半球で低いという傾向は、概ね従来の地上観測による結果と整合しています。しかし、全体として明らかに低いカラム平均濃度となっていること、地域的に高濃度や低濃度が認められるデータが存在することの確からしさの調査・検討など、今後定量的な議論を行うための処理アルゴリズムの改訂やプロダクトの校正、検証作業を進めます。

図1 二酸化炭素のカラム平均濃度(未校正値

データの提供および観測要求受付けのためのユーザ登録開始後、特に海外からの問い合わせが多く、対応が大変ですが、それだけGOSATデータへの関心が高いことを示すものと思い、日々頑張っています。

※編集局コメント
「2009年1月生まれのGOSAT1号機は、幾多の困難を克服しつつ、2020年7月現在もまだなお世界の温室効果ガスの計測を続けています。GOSATが約10年間で観測している間に二酸化炭素の大気中濃度は推定年平均濃度として384 ppmから410 ppmまで26 ppmも上昇しました。特に2015年末に400 ppmを超えた瞬間を観測したことは印象深いですね」

コラム1:地球環境の現状をぱらぱらマンガで見る

藤沼康実 (地球環境研究センター 研究管理官)
(2004年11月号掲載)

「ぱらぱらマンガ」を知っていますか? ほとんどの方は一度は作って楽しんだ経験があると思います。学校での授業中に教科書の端に少しずつ動作をずらした絵を描いて、ページを早めくりして、絵が動くのを楽しんだことがあることでしょう。

地球環境研究センターでは、ぱらぱらマンガで地球環境の現状をわかりやすく理解してもらう環境教育グッズを作成しました(表紙参照。この地球環境ぱらぱらマンガは、地球環境に係わる研究成果をわかりやすく図化したもので、子どもたちが簡単な工作をして冊子に綴じ、端をパラパラとめくると、地球環境の変化を動画像として実感できるようにしました。今までに、以下の3編を作成しました。

①だんだん温暖化:国立環境研究所と東京大学気候システム研究センターが共同開発した地球温暖化モデルで2100年までの地球の気温上昇をスーパーコンピュータで計算した結果を図化し、今後100年間で地球がどのくらい気温上昇するのか紹介しました。

②あなおそろしや〜オゾンホール:NASA(米国航空宇宙局)の南極上空の成層圏オゾンの衛星観測データに基づき、国立環境研究所で南極成層圏オゾン分布の変遷を図化し、南極オゾンホールの発生から消失に至る過程を紹介しました。

③すーすーはーはー 森の息づかい:地球環境研究センターが陸域生態系の炭素収支観測を行っている北海道のカラマツ林(苫小牧フラックスリサーチサイト)における森林と大気間の二酸化炭素の1年間を通した出入りを図化し、温室効果ガスである二酸化炭素の森林による吸収の実際を紹介しました。

地球環境研究センターには、様々な見学者が後を絶つことなく来訪します。環境教育の一環として小中学校からも多くの見学があります。それらの子どもたちに対しては、まず、環境への興味を抱いてもらう工夫が必要です。特に、地球環境は極めて概念的であり、漠然としたもので、現象を説明するのに苦慮します。ここで紹介した「地球環境版ぱらぱらマンガ」は、子供たちが対象とする地球環境問題を自らが作業することによって、その概要を理解することができるので、環境教育・普及ツールとして有効なものではないでしょうか?