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中核研究プロジェクト4 脱温暖化社会の実現に向けたビジョンの構築と対策の統合評価

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〔平成22年度の成果の紹介〕

将来の気候安定化に向けて、2013年以降の国際的取り組み、2050年を視野に入れた低炭素社会の実現、そして長期的な気候の安定化目標といった、さまざまな議論が現在行われています。本プロジェクトは、これらの課題に対して、温暖化対策を総合的に評価し、情報を提供しています。
国際情勢の動向

低炭素社会実現のために、重要なことは何か?

2050年までに温室効果ガス排出量世界半減という目標が実現できるかどうかは、2050年に世界人口の半分以上、温室効果ガス排出量の半分以上のシェアを占めるといわれているアジア地域で、生活水準やサービス需要は向上させつつも温室効果ガスを大幅に削減した社会(低炭素社会)が実現できるかどうかが鍵を握っています。
今年度は、中国、インド、タイ、インドネシアなどの研究者とともに、各国や地域を対象に低炭素社会に向けたシナリオを検討し、低炭素アジア実現に向けて各国・地域は何をすべきか、またアジアはどこに向かうべきかを検討してきました。

アジア低炭素社会シナリオ

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アジア低炭素社会シナリオ

気候変動政策を目的とした2013年以降の国際的枠組みとは?

京都議定書の第一約束期間が終了する2013年以降の気候変動抑制のための国際制度に関する交渉が2007年末から続いています。しかし、2010年末にメキシコのカンクンにて開催された気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)でも、資金や技術移転、途上国の森林保全(REDD)等の議題では一定の成果を得ることができましたが、各国の排出削減目標や国際制度の法形式等、中心的な議題についてはCOP17へ先送りされました。本研究では、交渉に影響を及ぼす主要国(米国、欧州、中国、インド、ロシア)の国内政策に関する比較分析を実施しています。

研究計画当初の研究イメージ図

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研究計画当初の研究イメージ図

2020年の日本の温室効果ガス排出削減目標(1990年比25%削減)を達成する姿

環境省中央環境審議会中長期ロードマップ小委員会において、日本を対象とした技術積み上げ型モデルを用いて、2020年のわが国の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する姿を試算しました。
2008年の排出量の実績から大きく削減している部門は、業務部門、家庭部門、運輸部門で、これらの部門での削減がすべての削減の80%程度を占める結果となりました。つまり、日常のくらしでの取り組みが重要となることがわかります。また、こうした試算とともに、対策を導入するために必要となる追加投資額がいくらになるか、経済活動にどのような影響が生じるかといったこともあわせて試算しています。

中長期ロードマップ小委員会で示した2020年のわが国の温室効果ガス排出量

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中長期ロードマップ小委員会で示した2020年のわが国の温室効果ガス排出量

注1:この試算では、25%削減達成に向けた内訳として、15%、20%、25%という3つの国内削減率を設定し、25%削減までの残りについては、海外等での取り組みで達成するという前提をとっています。
注2:「技術固定」とは技術の導入状況やエネルギー効率が2005年の状態から変化しないと仮定したケース、「参照」とはエネルギー効率改善については既存技術の延長線上で今後も変化すると想定したケースです。
注3:発電部門からの排出については、各部門の電力消費量に比例して各部門に配分しています。

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