釧路市で国立環境研究所地球環境セミナー「地球温暖化とわたしたちの将来」を開催しました

10月27日(土)北海道釧路市の釧路地方合同庁舎で、地球環境研究センターは、環境省釧路自然環境事務所、北海道釧路総合振興局、釧路市、北海道環境財団と共催による「地球温暖化とわたしたちの将来」と題するセミナーを行いました。雨の降る寒いなかではありましたが50人以上の方にご参加いただきました。感謝申し上げます。

2016年に発効したパリ協定は、温室効果ガスの排出を今世紀末には実質ゼロにするという目標を掲げています。本セミナーでは、温室効果ガス濃度の今後の推移や、パリ協定の目標を達成するために不可欠な「社会の大転換」、また、気候変動による道東の自然環境への影響について、3人の講師が最前線の研究成果を踏まえた情報提供を行いました。講演後のディスカッションでは、参加者からの質問に講演者が回答したり、講演者と参加者が対話したりすることで、地球温暖化についてさらに理解を深めることができました。

地球環境研究センターは、地球温暖化についていっしょに考え、話し合うセミナーをこれからも企画していきます。

向井人史フェローは、「温室効果ガス濃度—その後」という講演で、二酸化炭素が毎年どのくらい大気中に蓄積されるか、さらにその変動について説明しました

海水が二酸化炭素を吸収することを実験で確認しました。液体の酸性・アルカリ性を調べる溶液(BTB溶液)を用い、海水が弱アルカリ性であることを示した後(写真左)、海水入りの小瓶に息や外の空気を入れて振り混ぜた時の色の変化を観察しました。海水は息を吹き込むと二酸化炭素を吸収してアルカリ性から酸性に変わり(写真右)、息を部屋の空気に入れ替えて振り混ぜるとまたアルカリ性青色に戻ったりする様子に、参加者は驚かれていました

生物・生態系環境研究センターの阿部博哉特別研究員は、(1) 水温上昇は牡蠣の成育にどのように影響するか? (2) 豪雨が生態系に与える影響とは? (3) 海洋酸性化に対するアマモ場の役割とは? という地元に関連の深いテーマで講演しました

地球環境研究センターの江守正多副センター長は、10月に公表されたIPCCの「1.5°C特別報告書」の概要を紹介し、「脱炭素化」に必要な社会の「大転換」について解説しました

ディスカッションでは、参加者からたくさんの質問をいただき、講演者が回答しました

休憩時間中には、参加者が会場に展示された地球温暖化に関するパネルをご覧になっていました

*写真提供:久保田学氏(北海道環境財団)

なお、詳細は、後日地球環境研究センターニュースに掲載します。