観測現場発 季節のたより[34] 「会計課職員、観測現場を知る」 地球環境モニタリングステーション波照間 検収記録(2025年9月)
私は総務部会計課契約第一係という、物品を購入したり工事を行ったりするための契約を行う部署で働く事務職員です。普段は契約関係書類の確認が主な仕事であるため、仕事中はほとんど会計課のオフィス(@茨城県つくば市)にいます。
そんな私が2025年9月下旬、波照間島に出張してきました。「波照間」といえば黒糖(某回転寿司のアイスにも使われている)が有名ですが、地球環境モニタリングステーション(以下、「ステーション」)もあるのです。
※ステーションについて、詳細は下記をご参照ください。
- 令和6年度波照間小中学校エコスクール報告
https://cger.nies.go.jp/cgernews/202412/409003.html
今回の出張ではその観測塔の点検・補修塗装工事の検収を行いました。出張の様子を事務職員の目線から写真多めでお届けしたいと思います。
羽田~石垣入り
羽田から飛行機で3時間、石垣島へ到着。「お~りと~り八重山へ」の看板が出迎えてくれました。おーりとーりは石垣島の方言で「いらっしゃいませ」の意味、八重山は沖縄県南西部の位置する島々(石垣も波照間も含まれる)の総称だそうです。空港は観光客らしき人であふれており、自分は出張で来たんだと思うと、大人になったなあとしみじみしました。おーりとーり社会人へ、ですね。
空港から市街地まではバスで30分ほど。窓から見える南国植物と海に見惚れていると、いつの間にか目的地に到着しました。滞在するホテルまで歩きます。
あ、あ、あつい。。。
9月も下旬、つくばはもうすぐ長袖という頃でした。石垣島は手元の温度計(スマホ)で31℃、ということで急いで日焼け止めを塗り塗り。
ホテルで小休憩を挟んだ後、石垣は初上陸ということで、、少し散策もしてみました。
商店街では石垣牛寿司、石垣島産海ぶどうなど何度も私を誘ってきます。
波照間産黒糖など波照間島関連の商品がいくつもありました。
特に目を引いたのは波照間ラムネ。違いこそ分からないものの、この暑さと「最南端ラムネ」というロマンは味をより一層引き立たせていました。
散策後、夕食とともに地元の泡盛をいただき、出張への気合いを入れ直しました。
石垣~波照間入り
島の朝は早い、とはよく言ったもので波照間行きのフェリーは8時発でした。(この日からしばらく、つくばに戻った後も体が朝型に切り替わっていました。。)
2時間ほど船酔いと戦っていると、お待たせしました、波照間島です。
同時に島への郵便物もフェリーから降ろされ、乗っていた人たちはみな波照間の新鮮な空気を吸い込みます。
既に島入りしていた業者のご協力で、ステーションまで送り届けていただけることに。
いくつものサトウキビ畑を通り過ぎ、獣道を抜けると、観測塔がそびえ立つステーションが見えてきました。
ステーション内は数多くの装置で埋め尽くされており、その光景に圧倒されます。
たくさんある装置の中、よーく見るとそこには見覚えのあるメーカーの名前が。何度か契約を結んだことのあるあるメーカーさんです。
それに備品シール。資産登録は会計課の重要な業務のひとつです。公費で購入した物は、もちろん波照間でも適切に管理しています。
多くの装置を見ている内に、ステーションに携わってきた人々の姿を想像するようになりました。ステーションが完成してから30年以上、これだけ長く観測が続けられるのは、地元住民の方々のご理解とご協力のもと、NIES研究者だけでなく、会計課を含む事務職員、またそれぞれの前任、前任の前任・・・と多くの職員が適切に職務を全うしてきたからだと思います。契約業務とはまさに橋渡しです。この光景を絶やさず次に繋げるためにも日々の業務を大事にしよう。つくばから遠く離れた島で大切なことを学びました。
今回の工事の内容は、観測塔の点検と、防錆塗料の再塗布です。観測塔は立地上、高温多湿、強い紫外線や塩害、台風による暴風や飛砂など自然の影響を強く受けます。継続的な観測態勢に支障を来さないよう、点検と補修は欠かせません。
まず、請負業者から点検の結果を伺いました。修繕の対応が必要な箇所、修繕の方法・注意点など細かく説明をいただきました。普段私は会計課の視点でそれぞれの案件を確認していますが、今回の検収を経て、依頼元がどのように業者から報告を受けているのか、その現場の一端を知ることができました。
次に、防錆塗料がきちんと塗られているか、ハーネス等の安全対策を身につけて、観測塔(地上高約36.5m)に上ってすみずみまで検収します。
途中までは階段でした。初めは意外と余裕かも、なんて思っていました。
中程からはしごに切り替わります。スカイロックという落下防止の機器にハーネスをつけ、下を見ないように上ります。心は落ち着いているのに、足がプルプルします。思わず腰も引けてしまいます。
そんなこんなで頂上に至るまで検収を行い、結果問題なし!これにて、工事の検収は完了!
帰りのフェリーまで少々時間があったので、島内を短時間視察しました。
売店では「日本最南端の証」と書かれた入島証明書が販売されていました。島内でもお店は数えるほどであり、店主の気分による「不定休」なのだそうです。
星空観測タワー(現在は閉館中)です。波照間島は「星空に一番近い島」とされるほど星がきれいなのだそうです。いつかは観てみたいです。
暖かい地域で見られるクサトベラやソテツも生えていました。
島の至る所でヤギが放牧されていて、そのうち一匹が見つめてきました。かわいい。
隠れた名所?日本最南端に位置する自販機です。
このような貯水池も至る所にありました。ここからサトウキビ畑へ引水するのだそうです。
「この先に絶景がある」と聞き、林の中を進んでみます。
そこにはサンゴの浜が。プライベートビーチのような空間で、人っ子ひとりいませんでした。よーく観るとやどかりがたくさんいました。(写真にも1匹隠れています。)
〆は波照間ブルーです。空よりも青くてびっくりしました。
帰りはジェット船で石垣島まで1時間でした。このジェット船は行きで利用したフェリーより速いのですが、地元の方曰く、フェリーより揺れが大きい、とのことでした。
でも大丈夫です。行きの反省を活かし、乗船前に波照間港の売店で酔い止めを買っておきました。(これに夢中で他のお土産は買いそびれました。)
こうして、見事なファインプレーで会計課職員による波照間出張は幕を閉じました。
あとがき
本出張にあたり、出張伺書を作成してくれた総務課、出張で不在の間に会計課の業務を担当してくれた先輩方、検収にご協力いただいた方々に感謝いたします。契約担当として働いていると、事務用品から研究機器に至るまで、製品名やら金額やら文字で見ることが多く、だんだんと業務に対する実感が薄れてしまいます。今回の波照間出張では、まだ学生だった頃に、「一般公開」というイベントで初めてNIESを、また装置に囲まれたNIESの某研究者の研究室を訪れた時の感動を思い出しました。あの頃と違うのは、自分の仕事が少なからず研究の一翼を担っていることです。業務に対する責任と誇りを実感すると同時に、NIESの取り組みを認識できる貴重な経験となりました。
最後に、地球環境研究センターの関係者のみなさま、出張の機会をどうもありがとうございました。またいつでもお待ちしております。
