CGER-I163-2023_計算で挑む環境研究
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①排出シナリオの不確実性:②気候モデルの不確実性:③内部変動の不確実性: こうして得られた気候変動予測にも幅(不確実性)があります。気候変動予測の不確実性の原因は大別すると次の3種類になります。我々人類が今後どのような社会経済を築いていくかによって、温室効果ガス濃度や大気汚染物質排出量のシナリオが大きく異なることによる不確実性。気候変動に関係する物理プロセスの中で、現在の科学において理解が十分でない部分が存在するために生じる不確実性。気候システムの自然の揺らぎ(内部変動)による不確実性。 今後20~30年間の世界平均地上気温の変動予測においては、内部変動の不確実性が気温変動予測の主要な不確実性の原因になります。一方、100年以上の長期予測においては、排出シナリオの不確実性と気候モデルの不確実性のほうが大きく寄与します。 排出シナリオの不確実性は、同じ気候モデルに複数の排出シナリオを与えて気候変動予測を行うことで、その幅を見積もることができます。どの排出シナリオに近い未来になるかは、人類が今後どれだけ温室効果ガスを削減できるかにかかっているので、排出シナリオの不確実性幅は、ある意味人類の選択による結果の幅であるとも言えます。 気候モデルの不確実性は、複数の気候モデルによる気候変動予測の幅を調べることで評価されます。この不確実性による幅は、気候システムに関する我々の科学的理解の現時点での限界から生じます。また、計算資源の制限か2.排出シナリオの不確実性3.気候モデルの不確実性

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