CGERリポート

CGER’S SUPERCOMPUTER MONOGRAPH REPORT Vol.15

Algorithms for carbon flux estimation using GOSAT observational data

MAKSYUTOV, S., NAKATSUKA Y., VALSALA V., SAITO M., KADYGROV N., AOKI T., EGUCHI N., HIRATA R., IKEDA M., INOUE G., NAKAZAWA T., ONISHI R., PATRA P.K., RICHARDSON A.D., SAEKI T., YOKOTA T.

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温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、二大温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)とメタンの全球分布と、世界各地域におけるCO2吸収排出量の季節および年々の変動を明らかにするため2009年1月に軌道に投入されました。現在、GOSATのデータからCO2吸収排出量(フラックス)を推定するためのインバースモデル解析システムを整備しています。

本モノグラフはこの解析システムを構成する主要なコンポーネントについてまとめたものです。大気輸送モデル(図1)と、逆推定計算に必要な地表面フラックス先験情報を作成する際に使用する陸域生態系プロセスモデル(図2、3)と海洋輸送モデルの説明に加え、地上観測データにGOSATデータを併せてフラックス推定を行った際の推定値の不確かさの低減率についての調査結果(図4)も示しています。

図1 NIES大気輸送モデルにより推定された地表面におけるCO2濃度(ppm)。図は2002年8月30日のモデル計算値を示す
図2 陸域生態系プロセスモデルにより推定される生態系の正味CO2交換量(NEE)(右側)と観測値(左側)。単位:µmol CO2 m-2 s-1。10地点における30分毎のNEE値を色で示す
図3 陸域生態系の活動が盛んな時期における正味フラックス(GSNF)を緯度別に平均化した値(Pg C year-1)。これらのフラックスは地表面CO2濃度の観測データを基に最適化を行った結果
図4 地域別CO2フラックス推定値の不確かさ(GtC yr-1 region-1)。左は地上観測データのみを用いてフラックスを推定した際の不確かさ。右は地上観測データとGOSATデータを併用しフラックスの推定を行った際の不確かさを示す