News Archives [20011010]
スーパーコンピュータによる地球環境研究発表会(第9回)報告

photo2  9月13日に標記発表会が地球環境研究センターの主催で、国立環境研究所において開催されました。
 当研究所のスーパーコンピュータシステムは、超高速の演算性能と超高速・大容量の磁気ディスクを駆使した大気海洋結合大循環モデル等の 大規模な数値シミュレーション、また、人間活動が地球環境に及ぼす影響の解明などの研究に使用され、多くの成果が生まれています。それら の成果の一部である地球温暖化の将来見通しに関する気候モデル実験結果などは、地球温暖化アセスメントを目的とした「気候変動に関する政 府間パネル (IPCC)」による最新の報告書にも引用され、IPCC活動に貢献しています。
 今回の研究発表会は、地球環境研究センターが保有するスーパーコンピュータシステムを利用した地球環境研究の最新の成果についての発表 と情報交換及び討議を目的として行われました。国立環境研究所、気象研究所の他、北海道大学、埼玉工業大学、九州大学などの大学のグルー プからの発表があり、それらの発表を中心に活発な討論が行われました。以下に発表内容の一部を紹介致します。

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  • 現実の環境問題に深く関係する事柄に関する発表
    • IPCCに報告された温暖化実験に関連して、東京大学気候システム研究センター (CCSR) と国立環境研究所 (NIES) が共同で開発している大気海洋大循環気候モデルの気候感度が高い(温暖化の程度が高い)原因についての考察
    • 気象研究所開発の同タイプの気候モデルによるエーロゾルの全球規模の影響についての解析
    • CCSR/NIES化学−輸送大循環モデルによる北極渦崩壊前及び後の大気微量成分分布の計算結果と環境省が開発したオゾン層観測センサー ILAS の観測結果との比較に基づく考察
    • 釧路湿原における水・土砂動態を表現する水平二次元数値モデルの開発とそのモデルによる洪水氾濫解析への適用結果
  • 地球環境を考察する上での基礎的な研究の発表
    • 水惑星大気大循環モデル(全地球の地面が海洋で被われているとする仮想的なモデル)における赤道暖水域での大気の応答の時間発展と水蒸気輸送に関する解析

 また、国立環境研究所環境情報センターによって、来年春に導入されることに決まった新規導入予定スーパーコンピュータ (NEC SX-6) についての紹介が、 行われました。
 なお、スーパーコンピュータ関連研究ステアリンググループ小委員会が同日午後に行われました。国立環境研究所外部の委員7名が全員出席され、所内委員、 オブザーバーも含め、数値モデル開発と本格的数値実験の上手な組み合わせを実現して効率よくアウトプットを出す体制を整えるための研究支援体制のあり方、 スーパーコンピュータシステム導入にあたっての考え方などについて活発な議論が行われました。