台風18号による苫小牧フラックスリサーチサイト被害概況(速報)
地球環境研究センターが運用する「苫小牧フラックスリサーチサイト(以後、苫小牧FRS)」が台風18号により、大きな被害を受けました。ここに被災直後の現地踏査に
基づいて、被害状況を報告します。なお、現地調査は、林道が風倒木により遮断され、また、観測林地内も風倒木により大きく攪乱しており、踏査も困難な状況でした。
そのため十分な被害確認ができず、目視による状況把握にとどまっています。
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調査者:藤沼康実 地球環境研究センター研究管理官
犬飼 孔 〃 流動研究員
- 調査日:2004年9月10日(金)~11日(土)
◆これまでの苫小牧フラックスリサーチサイト◆
1.気象概況
北海道の西側を、台風18号が勢力の衰えないまま北北東方向に通過したことにより、台風の東側にあたる北海道で強風被害が相次ぎました。
台風情報(北海道西岸を通過中の情報) |
中心気圧 | 960~975hPa |
最大風速 | 30~40m/s |
移動方向 | 北北西 60~90km/s |
苫小牧周辺の最大瞬間風速 |
札幌 | 50.2m/s |
室蘭 | 45.7m/s |
苫小牧 | 32.7m/s |
2.苫小牧FRSにおける被害概況
- 観測林樹木:
- 観測サイト(約100ha)が、ほぼ完全に樹木がなぎ倒され、全壊状況にある。
- 基盤設備:
- 電源供給 :地下埋設線のため、損傷無し
- モービルラボ(4基):倒木が上部に倒れかかっているが、損傷無し
- 観測塔(2基;42m・26m):全壊、下部(約7~8m高まで)と上部が分断、分断された上部は樹木や支線ワイヤーで宙づり状態になっている。
- 植物調査用架設足場:損傷無し
- 観測設備
- タワー付設観測システム
- :センサ類の大半は外観上損傷無しただしケーブル類は分断・引延されている。
- :データ収録部:モービルラボ内に設置されており、異常なし
- 林内気象観測システム
- :センサ類の大半は倒木により設置架台がゆがむ、一部センサ類は損傷
- 土壌呼吸測定システム
- :測定チャンバーの半数が倒木により全壊
- 幹・葉光合成呼吸測定システム
- :測定チャンバーの大半が何らかの損傷有り
- 土壌水・樹幹流採取・測定システム
- :倒木などにより林地景観が激変し確認できず
※なお、屋外設置の機器については動作確認を実施していないため、衝撃による損傷がある場合があります。
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1198林班の消失したカラマツ林 |
1197林班の倒木状況 |
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1198林班の作業道(倒木が封鎖) |
1197林班の倒木状況 |
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観察タワー(26m高;1198林班)の倒壊状況;地上8mの位置で分断 |
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モービルラボ(1198林班);携帯アンテナが損傷 |
植物調査用仮設足場;損傷無し |
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観測タワー(42m高;1197林班)の倒壊状況;地上8mの位置で分断し、上部が林内に歪曲し倒壊 |
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観測タワー支線ワイヤーの破断状況
| モービルラボ(1197林班)を覆う風倒木 |
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観測タワー(42m高)頂部に設置してある観測センサ類 |
損傷した放射収支計 |
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1197林班の林床の気象観測センサ類 |
風倒木の直撃を受けた土壌呼吸測定チャンバー |
3.苫小牧フラックスリサーチサイトの今後
損壊した観測タワー、観測システムなどを早急に撤去し、その後については、関係者の意見、当該分野の研究情勢などを様々なレベルで検討し、早急に再建計画・
対応策を確定したいと思います。
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