7 月1
グリーンカーテンの植物たちは順調に大きくなってきています。向かって右端のパッションフルーツはほぼ毎日、複数の花を咲かせ、実も付き始めています。左端のパッションフルーツはというと、温室で伸びた部分の葉が落ち始め、代わりに新たなつると葉を伸ばしています。ゴーヤはこの一週間で随分と伸び、人の背丈を超えました。メロンも芽が出た頃のカイワレのような細さが嘘のように太くなり、元気に伸びています。フウセンカズラはいつの間にか風船のような実をたくさん付けています。
ここでプランターに土を追加しました。定植した当初はプランターの深さの半分までしか土は入れていませんでした。これは定植した直後の苗はまだ根が貧弱なので、はじめからたくさん土を入れると根が窒息しやすくなるなど、根の成長を阻害する要因になってしまうからです。根が十分に成長し、土の表面に根が見えるようになってきたら土を少し足してやります。これを何回か繰り返していくうちにプランターは徐々に埋まっていき、シーズンが終わる頃には根でいっぱいの状態になります。
7 月8
梅雨が明け、暑くなってくるとゴーヤが一気に伸びます。ここでは、植物の旺盛な成長を補助するために2種類の肥料を施肥しています。一つは液体肥料で、使用している銘柄は「ハイポネックス」。これは毎週1回水やりの時に与えていますが、元気のない時や苗が小さい時などに速効性を期待して施肥することもあります。そして、もう一つは化成肥料で、窒素・リン酸・カリウムの力価が8・8・8のものを使用しています。こちらは2週間に1回、プランターになるべくまんべんなく蒔くようにしています。
プランターでのグリーンカーテンづくりは、根の成長とともにどうしても土の絶対量が不足してきますので、これを補う意味でも施肥が重要になってきますが、あまり肥料(特に液肥)ばかり与えていると、パッションフルーツのような多年草の場合、木の勢いばかり良くなって、全く実を付けないということもあるようです。
昨年は最初にキュウリにアブラムシが付きました。あれよあれよという間に増えていき、途中からはキュウリが全く実を付けなくなってしまいました。そしてキュウリがダメになると、隣のメロンに移り、メロンから最終的にヘチマに移って大繁殖しました。
アブラムシが付くと木の勢いが無くなり、放っておくと枯れてしまいますので対策を施さなければなりません。ただ、対策といっても、殺虫剤は使いたくないので、数滴の油と界面活性剤(食器用洗剤)を入れた水(相当薄めたもの)を使いました。これでも体の小さなアブラムシにかけるとすぐに窒息死してしまいます。葉が痛まないように数分経ったところで水をかけて、アブラムシとともに洗い流します。
アブラムシを探そうとすると難しいので、アリを探します。葉の裏や芽、花などにアリが動き回らずに止まっている所があれば、そこにはたいていアブラムシのコロニーがあります。毎日アブラムシのコロニーを見つけては退治し、休日を挟むとまたコロニーが復活するという「いたちごっこ」が続きました。虫との戦いなのにいたちごっこ!?なのかと思いながら、それでもアブラムシを退治してからのメロンの実は着実に成長してくれ、美味しい果実を提供してくれました。
今年はというと、幸いアブラムシは付きませんでした。代わりにハゴロモ類というヨコバイやカメムシの仲間がパッションフルーツに付きました。この虫は害虫というほどの被害は出さないようですが、それでも放っておくとどんどん増えますし、木の汁を吸う虫なので、見つけたら退治することにしました。被害はありませんでしたが、捕まえようとするとぴょんぴょん跳ねて逃げるので捕まえるのが結構大変です。
その他にはメロンに青虫が付きました。どこから来たのかはわかりませんが、真新しい糞と、かじられて大きく削れた葉があったので、よく見ると葉の裏にいました。これは合計4匹退治しました。
こうして地球環境研究センターのグリーンカーテンは無農薬で育てており、害虫対策は全くの手作業でやっています。
7 月16
連休中のグリーンカーテンはどうやら水不足だったようです。自動水やりタイマーの設定は朝15分、夕10分でしたが、パッションフルーツにとっては少々足らなかったようで、その影響がせっかくできた実に現れていました。一部の実がしわしわになっており、不足する水分を実から補ったことがうかがわれます。
急いでプランターの水抜き穴から流れ出るほどたっぷりと水をやったところ、徐々にしわが伸びて実の皮がピンと張ってきました。休みの日に雨が降ると水分過多になるし、晴れて真夏日が続くと一転して水不足……なかなか設定が難しいです。もう3年目ということで、一部には詰まって水の出が悪くなったノズルもあります。水の供給が自然落下でほとんど水圧がかからないことも影響しているかもしれません。
また、7月20日(土)は研究所の一般公開です。グリーンカーテンが設置してある地球温暖化研究棟の1階は一般公開の展示会場として利用されますが、グリーンカーテンも展示の一つとなっています。これに間に合うように種まきや定植のタイミングを考えてきました。表からは窓の高さを大きく超えるまで成長したグリーンカーテンとして、裏からは大きくなったゴーヤの実や鈴なりのパッションフルーツの実をお客さんに見ていただけそうです。
7 月20
7月20日(土)は研究所の一般公開が行われました。グリーンカーテンが設置してある地球温暖化研究棟の1階ギャラリーと会議室では地球温暖化研究に関する様々な展示が行われました。グリーンカーテンはギャラリー前、所内循環バスのバス停のすぐそばにありますのでバスを利用した多くの人に見ていただけたと思います。
グリーンカーテン前に説明パネルを設置するとともに、屋根上に簡易的な「ガーデンクーラー」を設置し、グリーンカーテン方向にミストを出し、その温度をサーモカメラでとらえて見せました。ただ、曇天だったためカーテンそのものの効果はなかなか実感していただく事ができませんでしたが、サーモカメラの映像ではミストによる冷却効果がはっきりと写っていました。
説明担当者は置きませんでしたが、鈴なりになったパッションフルーツが特にお客さんの関心を呼んだようで、すぐ隣にいた土壌呼吸チームの担当者がお客さんからの質問に答えてくれました。
7 月26
昨年もそうでしたが、一般公開の翌週くらいからゴーヤの収穫が始まります。今年も順調に育っていたゴーヤは、一般公開の時にはかなり立派なサイズに成長していましたので、カーテンの裏側に回った人には楽しんでいただけたと思います。
今回収穫できたのは13本。大長レイシが4本、純白ゴーヤが6本、あばしゴーヤと純白ゴーヤの中間のものが3本です。実際に実ができてみて何と何が交雑していそうなのかが初めてわかるのですが、今年できた実を見てみると、大長レイシは純粋な大長レイシより少し短くて太めですが、全体に緑色が濃いのであばしゴーヤとの交雑のようです。唯一の純粋種である純白ゴーヤは、他のゴーヤの花粉で受粉した場合、実に少し緑色が入りますが基本的には真っ白になります。純白ゴーヤとあばしゴーヤの中間のものは全体に薄めの緑で下半分がかなり白っぽいものになりました。あばしゴーヤの交雑種は、1本が枯れてしまったこともあり、今回は収穫がありませんでしたが、なっている小さい実をみると、少し純白ゴーヤが入っているかな?という程度でかなり緑色が濃いようです。