発表論文

航空機搭載振幅変調1.57µm差分レーザー吸収分光計:二酸化炭素の部分気柱量と反射体距離の同時測定

An airborne amplitude-modulated 1.57 µm differential laser absorption spectrometry: simultaneous measurement of partial column-averaged dry air mixing ratio of CO2 and target range

著者
Sakaizawa D., Kawakami S., Nakajima M., Tanaka T., Morino I., Uchino O.
雑誌名
Atmos. Meas. Tech., 6, 387-396
DOI
10.5194/amt-6-387-2013
概要
衛星軌道からレーザーを用いた微量気体観測への応用を目指し、2波長のレーザーを反射体(地表面等)に照射し、2波長の散乱信号の差分から二酸化炭素(CO2)気柱量を推定するレーザー吸収分光計(Laser absorption spectrometer: LAS)を開発した。地上試験でLASの性能評価を完了し、2009年8月と翌年2月に航空機に搭載して実証試験を実施した。同時搭載されたフラスコサンプリング装置やCO2の直接測定装置から得た高精度CO2濃度データ(検証データ)を用いてLASで取得したCO2気柱量の評価を行った。用いたLASは十分なレーザー出力と受信望遠鏡口径を有していないものの、得られた高度0.5km〜7kmのCO2の光学的厚さは検証データから計算したCO2光学的厚さに対して0.99の相関係数が得られた。またCO2気柱量では平均1.5ppmの差で一致した。冬期の大気境界層内の高度2kmまでのエアロゾル光学的厚さが0.07〜0.12の都市上空では、LASによるCO2気柱量と検証データとの差は−1.5ppm程度、標準偏差(1σ)は2.4ppmとなった。