発表論文

気候変動対処を目的とした次期国際枠組みの構造分析—デルファイ手法およびクラスター分析を用いたアンケート調査結果—

亀山康子

気候変動に関する国際交渉の「成り行きシナリオ」を把握し、国際枠組みの構成要素間の関係や最終的に想定される合意パッケージを予想することを目的として、わが国内専門家を対象としたアンケート調査を実施した。回答の集約にデルファイ手法[1]を用い、回答結果に対してクラスター分析[2]を用いることにより、枠組みの構成要素の相互関係の明示を目指した。分析の結果、回答者が想定している将来シナリオには3種類あり、シナリオごとに合意のカギとなるパッケージが異なっていることが明らかになった。

1.
デルファイ手法:構造が複雑で不確実な将来を予想する手法。多くの専門家に将来予想に関するアンケート調査を実施し、集まった回答の集計結果を添付して、最初と同じ質問票を同じ専門家に再度送るという手続きを2,3回繰り返す。他の回答者の回答結果を知ることで、回答者は前回とは異なる回答を記入することもある。これにより、ばらついていた回答が徐々に集約されて、確度の高い将来予想シナリオを得ることができる
2.
クラスター分析:複数の性質をもつ多数のデータをいくつかの大きなグループに分けることを目的で用いられる統計手法の一つ。本研究では、アンケートの回答者がばらばらな回答をしてきて、一見、回答者相互に関連性が見られないような場合に、回答の傾向にしたがって回答者や設問の項目をいくつかのグループに分けるために用いた

亀山康子 (2009) 気候変動対処を目的とした次期国際枠組みの構造分析—デルファイ手法およびクラスター分析を用いたアンケート調査結果—. 環境経済・政策研究, 2(2), 12-21