発表論文

Effect of air-sea coupling in the assessment of CO2-induced intensification of tropical cyclone activity
大気-海洋モデルの結合の有無がCO2増加に伴う熱帯低気圧の活動の強化の評価に与える影響
長谷川聡, 江守正多

観測では、熱帯低気圧の接近に伴って海面が撹拌され、下層の冷たい水が上昇することで海面水温が低下し、熱帯低気圧を弱めることが知られている。本研究では、大気海洋結合モデルではこの効果が再現される一方、海洋モデルを結合しない場合ではこの効果が含まれないために、大気海洋結合モデルよりも熱帯低気圧を強めに表現してしまうことを示した。そのため、この大気-海洋の結合の有無による差は、温暖化が進行した条件化でより顕著となるので、大気モデルのみを用いた予測では温暖化に伴う熱帯低気圧の強化を過大評価する傾向にあることが明らかになった。

Hasegawa, A., Emori, S. (2007) Effect of air-sea coupling in the assessment of CO2-induced intensification of tropical cyclone activity. Geophys. Res. Lett., 34, 5, L0570110.1029/2006GL028275.