吸収源におけるモデルの役割

 地球温暖化予測や、吸収源関連政策の評価、CDM、JI等の吸収源関連プロジェクトの評価等を行う際には、全球レベルから単木レベルまでの様々なスケール炭素蓄積量変動や、それに伴う炭素収益等の将来予測・評価が必要となります。これらの予測・評価を行う際には、シミュレーションモデルが重要な役割を果たします。

 吸収源活動は様々な事象が係わっており、大変複雑です。森林生態系における炭素収支、土壌物質収支、水循環、気象変化、バイオマス成長といった自然現象だけでなく、農業、林業といった経済活動やそれに伴う土地利用変化、森林管理といった人為活動に関する要素が影響します。(京都議定書における人為活動の定義は制度DBのページを参照)従って、モデルについても、その用途や適用分野に合わせて様々なモデルが開発・利用されています。

 吸収源関連モデルは、以下の4つの種類(機能)に分けることができます。もちろん、全てのモデルは厳密にどれかに分類することはできず、複数の機能を統合したモデルが数多く開発されています。

  • 生態系モデル(TsuBiMo-Economica、PICUS等)
    →森林生態系を対象に、樹木の成長・森林の更新を記述するモデル。自然成長の他、間伐等による森林管理まで含めた森林成長を表現するモデルも開発されている。
  • 物質循環モデル(EPIC、DNDC等)
    →大気―生態系―土壌における炭素移動を記述するモデル。農業活動に伴う水・炭素・窒素等の物質移動を扱うモデルが開発されている。
  • 土地利用−経済モデル(FASOM、DIMA等)
    →農業及び林業動態を記述するモデル。対象地域における農業収益と林業収益、炭素収益により、森林―農地の土地利用転換が行われる。第2約束期間を念頭に、木材生産物の炭素蓄積を含めて炭素収益を考えるモデルが開発されている。

 さらに、モデルは、対象地域(Grobal-level、Region-level、Site-level)、利用データ(メッシュデータ、地域統計データ等)、利用目的(政策決定、科学的研究、事業立案等)等により分類することができます。欧州では、各種吸収源モデルを統合して、農林業活動が地球温暖化に与える影響を、高い信頼性を持って評価できる枠組を開発しています(INSEA Project)。

 国立環境研究所においても、陸域炭素収支―経済統合モデルであるTsuBiMo-Economicaを始め、全球レベル、地域レベルそれぞれの吸収源活動を評価するためのモデル開発を進めており、データベース事業と連動したモデルの検証を実施しています。

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