日本列島をはじめとした東アジアは、ユーラシア大陸と太平洋の境界に位置しています。東アジアの夏の気候は、オホーツク海高気圧と小笠原高気圧、それに挟まれた梅雨前線によって特徴づけられます。例年よりオホーツク海高気圧が強い年には、北日本に冷たい北東気流(ヤマセ)が吹き込み、稲作に多大な影響を及ぼすことが知られています。
過去63年間の観測データと、気候モデルによる21世紀の気候予測実験の結果から、大陸・海洋の温度コントラストの変動が、夏の東アジア気候の変動にとって重要な鍵であることがわかりました。観測データから、年ごとの気候の特徴を調べると、海上より大陸上が暖かい年には、海陸の温度差に従って北日本に北東気流が吹き込みます。地球温暖化が進行した21世紀には、海上よりも大陸上の温度上昇が大きいと予測されていて、これに従って日本に吹き込む北東気流が強まる傾向にあることがわかりました。これらの傾向は、世界のあらゆる気候モデルに共通した特徴として認めることができます。
私たちはさらに、大陸上の大きな昇温と大気の流れが変わる要因を調べ、夏の東アジアの気候がどのように変わっていくのか、調査を進めています。