発表論文

三峡ダム及び導水プロジェクトが長江流域の洪水へ及ぼす影響

Impact of the Three-Gorges Dam and water transfer project on Changjiang floods

著者
Nakayama T., Shankman D.
雑誌名
Global Planet. Change, 100, 38-50
DOI
10.1016/j.gloplacha.2012.10.004
概要
長江の中・下流域では異常降水、土地利用変化、湖沼縮小や堤防建設のために過去数10年に渡って洪水発生頻度が増加しており、三峡ダムの建設および南水北調プロジェクトは特にハンヨウ湖域に大きな影響を及ぼすことが予想される。統合型NICEモデルを用いたシナリオシミュレーションを行ったところ、三峡ダム建設にもかかわらず初夏の洪水リスクが増加し、河床形状変化は状況をさらに深刻化することが示された。この結果は全流域レベルで洪水流量と土砂堆積を併せて管理する重要性を示している。また、過去20年の時間積分型植生指数(TINDVI)の時間勾配は湖沼流域で減少し、湖沼埋立て増加および米生産減少は水循環変化と密接に関連していることが示唆された。本研究で採用した総合的アプローチは洪水被害を最小化し持続可能な発展へのより良い政策提言に有効と思われる。