発表論文

温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)短波長赤外観測からのメタン推定:代替アルゴリズム及び物理的アルゴリズムの性能比較

Methane retrievals from Greenhouse Gases Observing Satellite (GOSAT) shortwave infrared measurements: Performance comparison of proxy and physics retrieval algorithms

著者
Schepers D., Guerlet S., Butz A., Landgraf J., Frankenberg C., Hasekamp O., Blavier J.-F., Deutscher N. M., Griffith D. W. T., Hase F., Kyrö E., Morino I., Sherlock V., Sussmann R., Aben I.
雑誌名
J. Geophys. Res-Atmos., 117, D10307
DOI
10.1029/2012JD017549
概要
温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)短波長観測からメタンカラム平均混合比(XCH4)を推定する二つの異なる手法を比較した。これらの手法は、エアロゾルや巻雲による光散乱について異なった取り扱いを行うもので、代替アルゴリズムは二酸化炭素(CO2)の先験値情報とあわせて、散乱効果の代替として同時に導出されるCO2気柱量を利用する。物理的アルゴリズムは、散乱層について三つの実効的パラメータを推定することにより散乱効果を取り入れる。両アルゴリズムに基づく推定結果を19カ月間の12地点におけるTCCON XCH4データを用いて検証した。バイアスは両者で幾分違うものの、精度は同程度で17ppbであった。TCCONデータによる検証のできない地点を補完するために全球化学輸送モデルシミュレーションと比較したところ、最大XCH4 1%のバイアスを生じさせる欠陥が明らかとなった。これにより衛星短波長赤外観測からのメタン導出に対する十分な検証を行うことができたが、TCCON観測地点の更なる拡大が必須であることも明らかになった。
TCCON:Total Carbon Column Observing Network。全量炭素カラム観測ネットワーク。