地表面大気採取測定とTCCONCO2気柱量から推定した全球CO2フラックス

地表面大気採取測定とTCCONCO₂気柱量から推定した全球CO₂フラックス

Global CO₂ fluxes inferred from surface air-sample measurements and from TCCON retrievals of the CO₂ total column

著者

Chevallier F., Deutscher N. M., Conway T. J., Ciais P., Ciattaglia L., Dohe S., Fröhlich M., Gomez-Pelaez A. J., Griffith D., Hase F., Haszpra L., Krumme P., Kyrö E., Labuschagne C., Langenfelds R., Machida T., Maignan F., Matsueda H., Moeino I., Notholt J., Ramonet M., Sawa Y., Schmidt M., Sherlock V., Steele P., Strong K., Sussmann R., Wennberg P., Wofsy S., Worthy D., Wunch D., Zimnoch M.

雑誌名

Geophys. Res. Lett., 38, L24810

DOI

10.1029/2011GL049899

概要

TCCON^＊14観測地点で得られたCO₂気柱量データから、地域別のCO₂フラックス（正味収支）全球分布を初めて推定した。導出されたCO₂フラックスは、従来の地表面大気採取測定データからの推定との比較、および2009年および2010年の独立した（推定に使用していない）航空機観測から推定したフラックスから計算したCO₂混合比との比較を行った。前者は、TCCONからの推定は推定精度が劣るものの、北半球において従来の地表面大気採取測定データからの推定と同様の季節周期と矛盾のない地域の炭素収支を示した。後者は、TCCONからの推定は、フラックス先見値（フラックス気候値、排出インベントリおよびモデルシミュレーションの組み合せ）と比較して地表面フラックスの質の向上（すなわち、推定の不確かさの削減）が確認できた。この結果は、両者を組み合わせることによるフラックス推定確度および頑健性の向上の可能性、また宇宙からのCO₂気柱量観測からのフラックス推定の実用性を裏付けるものである。

＊: TCCON: Total Carbon Column Observing Network、全炭素気柱量観測ネットワーク。https://tccon-wiki.caltech.edu/