発表論文

2011年春における北極のオゾンホール

Unprecedented Arctic ozone loss in 2011

著者
Manney G. L., Santee M. L., Rex M., Livesey N. J., Pitts M. C., Veefkind P., Nash E. R., Wohltmann I., Lehmann R., Froidevaux L., Poole L. R., Schoeberl M. R., Haffner D. P., Davies J., Dorokhov V., Gernandt H., Johnson B., Kivi R., Kyrö E., Larsen N., Levelt P. F., Makshtas A., McElroy C. T., Nakajima H., Parrondo M. C., Tarasick D. W., von der Gathen P., Walker K. A., Zinoviev N. S.
雑誌名
Nature, 478, 469-475
DOI
10.1038/nature10556
概要
1980年代に発見されて以来、南極のオゾンホール、すなわち南極域上空の成層圏下部のオゾンのほぼ完全な消失は、毎年発生している。一方、北極域上空のオゾン濃度はかなり変動するにもかかわらず、少なくとも2011年までは南極で観測されるほどの極端な事象には至らなかった。本研究では、2011年の晩冬から早春にかけて実施した観測から、北極域上空で過去に観測された変化幅をはるかに超え、南極のオゾンホールのいくつかの事例に匹敵するオゾン消失が起きたことを明らかした。この北極のオゾンホールが形成されたのは、寒冷な時期が異例に長く、オゾンを破壊する塩素の濃度が高かったことによる。これと同様の北極オゾンホールが将来現れるかどうか予測することは難しい。