発表論文

海水温上昇に応答した熱帯性サンゴの急速な分布北上

Rapid poleward range expansion of tropical reef corals in response to rising sea surface temperatures

著者
Yamano H., Sugihara K., Nomura K.
雑誌名
Geophys. Res. Lett., 38, L04601
DOI
10.1029/2010GL046474
概要
最近100年間で海水温が上昇していることが明らかとなっている日本近海において、全国規模で80年間にわたるサンゴ出現のデータベースを整備して、サンゴの分布北上を検出した。サンゴは、光合成を行うとともに他の生物の生息場所を提供し、生態系の基盤となる生物であるため、その生息域の変化を把握することが重要である。温帯への北上を示した4種のうち、2種は熱帯を代表する種であり、その北上速度は14km/年に至った。本研究の結果は、海水温上昇によって温帯域の生態系の変化が急速に進んでいることを示すものである。