発表論文

Possible mantle origin of olivine around lunar impact basins detected by SELENE

SELENEによって月の衝突盆地周辺で発見されたマントル起源と考えられるカンラン石について

Yamamoto S., Nakamura R., Matsunaga T., Ogawa Y., Ishihara I., Morota T., Hirata N., Ohtake M., Hiroi T., Yokota Y., Haruyama J.

月のマントルの組成、構造、進化については未だよくわかっていない面がある。地球のマントルの主要鉱物の一つであるカンラン石は、月においても地球からの分光観測により2カ所、周回衛星による探査によっても5カ所発見されているが、後者の一つについては月探査衛星「かぐや」に搭載された分光計(スペクトルプロファイラ)によって誤りであることが指摘されている。今回、この分光計を用いて月全球のカンラン石の探査を行い、カンラン石に富むと考えられる場所を多数発見した。これらはいずれも地殻の薄い衝突盆地の縁辺域に位置することから、衝突盆地形成時にマントルから掘削されたものであると考えられる。また、これは光学的鉱物混合モデルによる解析によっても裏付けられた。

Yamamoto S., Nakamura R., Matsunaga T., Ogawa Y., Ishihara I., Morota T., Hirata N., Ohtake M., Hiroi T., Yokota Y., Haruyama J. (2010) Possible mantle origin of olivine around lunar impact basins detected by SELENE. Nature Geoscience, 3, 533-536, doi:10.1038/ngeo897.