発表論文

温暖化にともなうブナ林の適域の変化予測と影響評価

松井哲哉, 田中信行, 八木橋勉, 小南裕志, 津山幾太郎, 高橋潔

温暖化によるブナ林分布への影響を分布予測モデルを用いて予測した。九州・四国・本州太平洋側のブナ林は分布面積がもともと狭いうえ、将来、夏期高温にさらされるため、適域面積が狭くなると予測された。現在ほとんどが適域である白神山地とその周辺では、将来に夏期高温のため適域が大幅に縮小する。一方、北海道では適域が現在の分布北限を超えて北に広がるが、ブナの分布拡大速度や天然林の分断化などが阻害要因となり温暖化のペースに追い付けないことが懸念される。

松井哲哉, 田中信行, 八木橋勉, 小南裕志, 津山幾太郎, 高橋潔 (2009) 温暖化にともなうブナ林の適域の変化予測と影響評価. 地球環境, 14(2), 165-174