発表論文

Stable carbon isotope ratio of methyl chloride emitted from glasshouse-grown tropical plants and its implication for the global methyl chloride budget
温室で栽培した熱帯植物から放出された塩化メチルの炭素安定同位体比とグローバルな塩化メチル収支への示唆
斉藤拓也, 横内陽子

熱帯植物は、成層圏オゾン破壊物質である塩化メチルの主要な発生源のひとつと考えられているが、そのグローバルな発生量の推定値については非常に大きな誤差がある。本研究では、温室で栽培した14種の熱帯植物を用いて、それらから放出された塩化メチルの炭素安定同位体比測定を行った。得られた同位体比とこれまでに報告されている塩化メチルの各種発生源の同位体比、および消失源の同位体効果を用いて、グローバルな塩化メチル収支を計算した結果、熱帯植物からの塩化メチル発生量は年間約150~300万トンに上ることがわかった。これは、塩化メチルの全発生量の3割から5割に相当する。

Saito, T., Yokouchi, Y. (2008) Stable carbon isotope ratio of methyl chloride emitted from glasshouse-grown tropical plants and its implication for the global methyl chloride budget. Geophys. Res. Lett., 35, doi:10.1029/2007GL032736