全球の水資源評価において家庭・工業用水取水量の将来推計に利用されてきた3組の推計式(高橋ら,Shenら,Alcamoら)を同一の条件のもとで適用し、過去から将来にかけての推計値を相互比較した。推計値の推計式間の違いは大きく、全球水資源評価において無視しえないものであった。この原因は、家庭用水については、開発途上国における一人当たり家庭用水取水量がどこで飽和するかというピーク値の設定手法に、工業用水については、経済成長に伴う工業用水取水量の原単位の逓減の設定手法に、それぞれ問題があることを明らかにし、それぞれの推計式に関する今後の研究課題を示した。