近年、冬季の中・高緯度アジアでは温暖化が顕著だが、低緯度と周辺海域を含めたアジア全域ではどのような気温変動モードが卓越しているのかを、主成分分析の手法により明らかにした。第一モード（寄与率23%）はチベット高原を境に高緯度側と低緯度側で逆になる気温変動であり、北極振動と低緯度アジアの寒波（コールドサージ）が関係していた。第二モード（15%）は、内陸アジアを中心に温暖化するモードで、シベリア高気圧等の年々変動の影響に加え、太陽活動との関係が示唆された。エルニーニョ現象の影響は、これらに次ぐ2つのモード（11%、9%）に現われていた。