海洋における化学物質輸送を調べるため、データ同化により得られた海流データを利用し、鉛直混合および水平拡散方式を組み込んだオフライントレーサー輸送モデルを開発した。本モデルを用いて1938年～1999年の海洋中CFC-11（クロロフルオロカーボン）循環をシミュレーションし、その結果を船舶観測および他の8つのモデルと比較することによってモデルの性能を確認した。本モデルでは、深海への通気過程が明らかに高精度で再現され、CFC-11の鉛直積分量は観測データとよく整合している。統計的にスキルを調べると、本モデルは高解像度をもち、また海流の同化結果を利用しているため、他のモデルよりも高い性能を持つことが示された。