発表論文

地図の無い島—環礁州島における地理情報の整備と地球温暖化に対する脆弱性評価・適応策への応用—
山野博哉

環礁州島*1は地球温暖化に対して脆弱であることが指摘されている。しかしながら、こうした島では地図が存在しない場合が多く、脆弱性を評価することが不可能となっている。本総説では、リモートセンシング技術を活用した最近の地図作製技術に関して概観した。その上で、作製された地図を活用して、考古学的居住史、人口・社会経済変化と組み合わせることにより現在の脆弱性をもたらした要因を検討することが可能であることを明らかにし、環礁州島における地理情報の整備が地球温暖化に対する脆弱性評価と適応策の立案を行う上で有効であることを示した。

*1 環礁州島:環礁上に成立する砂でできた低平な島。ツバル共和国、マーシャル諸島共和国、モルディブ共和国は、国土のすべてが環礁州島からなる島嶼国である。

山野博哉(2008)地図の無い島—環礁州島における地理情報の整備と地球温暖化に対する脆弱性評価・適応策への応用—. 地学雑誌, 117, 412-423.