発表論文

Towards understanding cloud response in atmospheric GCMs: the use of tendency diagnostics
大気大循環モデルにおける雲の応答の理解に向けた雲水収支項の活用
小倉知夫, 江守正多, Webb, M. J., 對馬洋子, 横畠徳太, 阿部彩子, 木本昌秀

大気中のCO2濃度倍増に対する気候モデルの応答を気候感度*1の異なる二つのバージョン間で比較したところ、雲フィードバック*2に大きな違いが見られた。この違いは南半球中緯度における雲氷落下過程の違いに由来することが、雲水収支項の解析から確かめられた。雲氷落下過程に見られたバージョン間の違いは標準実験における雲氷の鉛直分布の違いを反映している。このことから、雲氷の鉛直分布を観測することにより雲フィードバックに制約を加えられる可能性が示唆された。

*1 気候感度:大気中のCO2濃度が倍増した場合の、平衡状態における世界年平均気温の変化
*2 雲フィードバック:ここでは、気温の上昇が雲に変化を引き起こし、それがまた気温の上昇を促進(または抑制)するメカニズムを指す。

Ogura, T., Emori, S., Webb, M. J., Tsushima, Y., Yokohata, T., Abe-Ouchi, A., Kimoto, M. (2008) Towards understanding cloud response in atmospheric GCMs: the use of tendency diagnostics. J. Meteor. Soc. Japan, 86(1), 69-79.