ICESat 衛星搭載のライダー(GLAS)で得られた雲データを用いて、絹雲の特徴を表す物理量の全球規模での統計解析を行った。GLAS は高度測定の鉛直分解能が高く(約77m)、光学的厚さも0.01まで測定可能であるため、非常に薄い雲を捉えることができる。絹雲の平均中心高度は熱帯域で14.5km、中緯度域で9.5kmで、これは各対流圏界面の約2km下層であることがわかった。また幾何学的厚さの平均は緯度によらず1.6km であるのに対し、光学的厚さは中緯度で厚い(0.34) ことがわかった。この特徴は、絹雲を形成する時に必要な水蒸気の含有量 (気温に依存) と雲核の違い、更には雲粒の形状の違いによるものと考えられる。